【HIV検査の感度とは】
HIV検査の有用性を評価する指標として感度と特異度がありますが、感度及び特異度は特定の疾患(この場合HIVを例にとって話を進めます)について、その検査がHIV感染の有無をどの程度正確に判定できるかを示す定量的な指標ということになります。
そして感度とは、HIV感染者中の検査陽性者を検出する割合を言います。
従って、HIV検査の感度が高いということは、HIV感染者の大部分が検査陽性になることを意味しています。
要するに検査の感度が高ければ、HIV感染者の中で検査陰性になるものすなわち偽陰性者が少ないということになります。
感度が高いHIV検査は、HIV感染者のほとんど見逃すことがなく、HIV感染者の発見率が高い検査といえるのです。
逆に、感度が低いHIV検査はHIVに感染していたとしても陰性と判定される可能性が高いことになります。
HIV感染者を見逃すリスクの高い感度の低い検査は、HIVスクリーニング検査として利用できません。
※感度の低いHIV検査は、HIVの感染を見つける能力が低いため陽性者を見落とすことが高いことからスクリーニング検査には使用できないのです※
【感度の高い検査を使用する理由】
一般的にスクリーニングに使用されるHIV検査は、陽性者を見逃さないために感度を高くしていることからどうしても僞陽性反応(ニセの陽性反応)の出現頻度は高くなってしまいます。
HIVスクリーニング検査は、多くの検査者の中からHIVの感染者を見つける検査ですから、感染者を見逃さないために検査の感度を高くしています。
HIV感染者をスクリーニングの時点で見逃すと以後見つけることは不可能となります、そのためには僞陽性反応が出現しても許されることになるわけです。
よってスクリーニング検査で陽性となっても、僞陽性反応の可能性が否定出来ないことから即HIVに感染しているとは言えないのです。
真のHIV感染者かニセの感染者の判断は、確認検査をする必要があるわけです。
検査感度を高くすればするほどニセの陽性反応の出現率は高くなります。
【感度の高いHIV検査が陽性となったときの注意点】
陽性=HIV感染とは言えません、確認検査をして陽性とならない限りニセの陽性反応ということになります。
【HIVスクリーニング検査で偽陽性反応を出ないようにできないのか】
HIVスクリーニング検査は、HIV感染者を見逃さないように検査の感度を非常に高くしていますから当然のごとく僞陽性反応は出現してしまいます。
僞陽性反応が出ないように検査の感度を低くすると、今度は真のHIV感染者を見逃すことになってしまいます。
HIVスクリーニング検査で真のHIV感染者を見逃さないためには、検査の感度を高くすることが必要となります、感度を高くすれば当然のことながら僞陽性反応は出現することになります。
僞陽性反応が出現しても確認検査があり、ニセの陽性者か真の陽性者の区別は可能です。
HIVスクリーニング検査は、真の感染者を見逃さないためにも検査の感度は高くする必要があるのです。
【確認事項】
今回HIV検査の感度のことを解説しましたが、このことはHIV検査を適切な時期に受けて言えることです。
いくら感度の高い検査でも受ける時期が早すぎると、HIVに感染していたとしても陰性となってしまいます。
これは受ける時期が早く検査で見つかる十分なHIV抗体が体内にできていないからです。
※次回は感度とトレードオフの関係にある特異度について解説いたします※