【日本国内における梅毒流行の現状】
相変わらず国内の梅毒の流行は止まりません。
2022年の1月から7月下旬までの梅毒患者数は、8349人となっています。
【口腔咽頭梅毒とは】
梅毒トレボネーマは、膣性交や肛門性交で感染しますが、ディープキスを含むオーラルセックスでも口腔咽頭にも感染します。
口腔咽頭梅毒は、初期硬結、硬性下疳(第I期梅毒)、粘膜斑・乳白斑(第II期梅毒)といった梅毒特有の病変を引き起こすことが多いようですが、 HIV陽性者の梅毒再感染の場合は、それに当てはまらない非定型的な臨床像を呈する症例が多く見られています。
口腔咽頭梅毒の多くは第II期梅毒で発見されることが多く、第II期梅毒の30%において、有痛性の口腔内の浅い潰瘍形成がみられるとの報告がなされています。
【口腔咽頭梅毒の症状とは】
両側の軟口蓋に沿って、弧状に拡がる乳白斑や、口腔内に痛みのある潰瘍が多数できます。
口の中や喉に梅毒の症状が現れるのは、主に感染してから6~12週間後の第Ⅱ期です。
実際に口腔咽頭梅毒と診断された患者の半数以上は、食事するときに咽頭痛を感じるなどの違和感を感じたと訴えています。
【喉の主な症状としては】
1.軟口蓋のふちに沿って生じた粘膜斑は蛾が羽を広げたようにみえることから、“butterfly appearance(バタフライ兆候)”と呼ばれています。
2.舌の表面や舌の裏側に乳白斑が出来ることもあります。
3.粘膜斑以外にも口角のびらんや白斑や赤みが出現することもあります。
【口腔咽頭梅毒の診断】
梅毒トレポネーマ感染による口腔咽頭病変の鑑別診断は多くの症状を呈することからその診断は、臨床症状、血清反応、および生検による組織診によって判断されます。
【口腔咽頭梅毒を見逃さないためには】
口腔咽頭に梅毒トレポネーマが感染すると、喉に違和感を感じることもありますが、一般的には症状がない場合が多く感染に気づくことはまずありません。
従ってオーラルセックスをしてしまったときには、必ず適切な時期に梅毒検査を受けることが必須となります。
【口腔咽頭梅毒の受診診療科は】
口腔咽頭梅毒の検査診療科は、皮膚科が専門診療科です。
耳鼻咽喉科でも受診は可能ですが、多くの耳鼻咽喉科は対処していないことが多いので、受診前に事前に問い合わせることをお勧めします。
性病科や性病を扱う泌尿器科でも検査を受けられる場合もありますが、やはり受診前に事前に問い合わせることをお勧めします。
【気をつけたいこと!!】
性器への梅毒トレポネーマ感染を気にする人がいても、口腔や喉への梅毒トレポネーマ感染を気にしない人が多いことからして、多くの第三者に感染させることになります。
口腔咽頭梅毒は、キスやオーラルセックスで感染しやすいことを念頭に置いて行動して下さい。
新型コロナウイルスの流行に伴い、HIV検査や梅毒検査を受ける人が激減しています、これは流行に拍車をかけることになりますから、 危険な行為をしてしまったときは必ず適切な時期に検査を受けて下さい。