2023年10月28日土曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-18.HIV感染による初期症状について-

【いつ頃現れるのか】


HIVに感染してから通常2~6週以内に現れます。


【HIVに感染した人全てに現れるのか】


感染した人の約半数から2/3に、これらの症状が起こることがあります。


 全ての感染者にこのような症状が現れるとは限りませんし、全く症状の現れない人もあります。


【初期症状はどのくらい続くのか】


大部分が数日で治り消失しますが、2週間程度続くこともあります。


また症状の続く期間は人によりまちまちです。


【初期症状が収まった後に再度初期症状が出ることがあるのか】


HIVに感染して感染初期に出るから"初期症状"と言います。


初期症状が出て、消失した後に再度初期症状は出ることはありません。


【初期症状が出なければHIVに感染していないのか】


HIVに感染して初期症状が全く出ない人もありますし、出ても軽く気づかない人もあります。


初期症状は何もしなくて放置しておいても自然に消失しますから、初期症状が出ないからHIVに感染していないとは絶対に言えません。


【主な初期症状の一覧】




【初期症状でHIVの感染は判断できるのか】


上記の症状はHIVに感染していなくても他の感染症でも出ますから、これらの症状だけでHIVの感染の判断はできません。


※HIV感染の判断は、適切な時期に適切なHIV検査を受けないと分かりません※

2023年10月26日木曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-17.検査の感度と特異度-その2.特異度とは-

特異度とは、臨床検査の正確さを決める指標のひとつで、ある検査について"本来陰性であるべきものを正しく陰性と判定する確率"として定義されています。


すなわち特異度が高いということは、その疾患に罹患していない人の大部分が検査で陰性になることを意味しています。


HIV検査で特異度が高ければ高いほどニセの陽性者が少ないということになります。


従って特異度の高いHIV検査は、HIVに感染していない人を陽性と判断することはまずないと言えます。


従って陽性と判断されることがほとんどないHIV検査で陽性と判断されれば、絶対にHIVに感染していると診断することができます。


感度が高いHIV検査で陰性となれば、HIVに感染している確率は低いと言えますが、特異度が高いHIV検査で陽性となれば、HIVに感染ししている確率が極めて高いと言えます。


特異度の高いHIV検査は、確認用検査として利用されます。


これは感度の高いスクリーニング検査では、ニセの陽性反応が出現する可能性が高いことから、陽性となった確認用検査として利用されるわけです。


感度の高いHIV検査でスクリーニング実施し見落としを防ぎ、特異度の高いHIV検査で確認検査を行い真のHIV感染者を見つけるわけです。


【まとめ】


特異度が高いHIV検査とは、「HIVに感染していない人を正しく陰性と判定する可能性が高い」、あるいは「本来HIVに感染していない人を間違って陽性と判定する可能性が低い」ということになります。


しかし現実は特異度の高いHIV検査で陽性となった場合必ずしも全てが真の陽性とは言えません、なぜなら特異度100%のHIV検査は存在しないからです。


従っていくら特異度の高いHIV検査でもニセの陽性反応は存在します。 

2023年10月24日火曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-16.-検査の感度と特異度-その1.感度とは-

 【HIV検査の感度とは】


HIV検査の有用性を評価する指標として感度と特異度がありますが、感度及び特異度は特定の疾患(この場合HIVを例にとって話を進めます)について、その検査がHIV感染の有無をどの程度正確に判定できるかを示す定量的な指標ということになります。


そして感度とは、HIV感染者中の検査陽性者を検出する割合を言います。


従って、HIV検査の感度が高いということは、HIV感染者の大部分が検査陽性になることを意味しています。


要するに検査の感度が高ければ、HIV感染者の中で検査陰性になるものすなわち偽陰性者が少ないということになります。


感度が高いHIV検査は、HIV感染者のほとんど見逃すことがなく、HIV感染者の発見率が高い検査といえるのです。


逆に、感度が低いHIV検査はHIVに感染していたとしても陰性と判定される可能性が高いことになります。


HIV感染者を見逃すリスクの高い感度の低い検査は、HIVスクリーニング検査として利用できません。


※感度の低いHIV検査は、HIVの感染を見つける能力が低いため陽性者を見落とすことが高いことからスクリーニング検査には使用できないのです※


【感度の高い検査を使用する理由】


一般的にスクリーニングに使用されるHIV検査は、陽性者を見逃さないために感度を高くしていることからどうしても僞陽性反応(ニセの陽性反応)の出現頻度は高くなってしまいます。


HIVスクリーニング検査は、多くの検査者の中からHIVの感染者を見つける検査ですから、感染者を見逃さないために検査の感度を高くしています。


HIV感染者をスクリーニングの時点で見逃すと以後見つけることは不可能となります、そのためには僞陽性反応が出現しても許されることになるわけです。


よってスクリーニング検査で陽性となっても、僞陽性反応の可能性が否定出来ないことから即HIVに感染しているとは言えないのです。


真のHIV感染者かニセの感染者の判断は、確認検査をする必要があるわけです。


検査感度を高くすればするほどニセの陽性反応の出現率は高くなります。


【感度の高いHIV検査が陽性となったときの注意点】


陽性=HIV感染とは言えません、確認検査をして陽性とならない限りニセの陽性反応ということになります。


【HIVスクリーニング検査で偽陽性反応を出ないようにできないのか】


HIVスクリーニング検査は、HIV感染者を見逃さないように検査の感度を非常に高くしていますから当然のごとく僞陽性反応は出現してしまいます。


僞陽性反応が出ないように検査の感度を低くすると、今度は真のHIV感染者を見逃すことになってしまいます。


HIVスクリーニング検査で真のHIV感染者を見逃さないためには、検査の感度を高くすることが必要となります、感度を高くすれば当然のことながら僞陽性反応は出現することになります。


僞陽性反応が出現しても確認検査があり、ニセの陽性者か真の陽性者の区別は可能です。


HIVスクリーニング検査は、真の感染者を見逃さないためにも検査の感度は高くする必要があるのです。


【確認事項】


今回HIV検査の感度のことを解説しましたが、このことはHIV検査を適切な時期に受けて言えることです。


いくら感度の高い検査でも受ける時期が早すぎると、HIVに感染していたとしても陰性となってしまいます。


これは受ける時期が早く検査で見つかる十分なHIV抗体が体内にできていないからです。


※次回は感度とトレードオフの関係にある特異度について解説いたします※


2023年10月22日日曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-15.通販検査の落とし穴-

保健所や医療機関でHIV検査を受ける場合、プライバシーの保護を危惧する人が多くいることは周知の事実です。


特に保健所での検査がいくら無料であっても受けるのを躊躇している人が多いのも事実です。


その上保健所の都合で受ける日時が一方的に決められ、受けたい時に受けられない不便さもあります。


これらのことからして、通販でHIV検査キットを購入して自宅で検査をする人や、穿刺器具で血液を採取してその血液を民間の会社に郵送して検査を受ける人が増加しています。


現実、民間の郵送検査の利用件数が毎年増加しつつあることは事実です。


通販の検査キットの人気の理由としては、以下が考えられます。


1.数千円の費用で気軽に検査ができる。


2.検査の際に他人と顔を合わせる煩わしさがない。


3.いつでも自分の希望した時に検査を受けられる。


しかし冷静に考えてみて、本当に自宅検査や郵送による検査には問題点がないのでしょうか?


問題点を以下に上げてみます。


1.検査を受ける時期が適切であったか。


2.正しく採血や検査が実施できたか。


3.陽性となった時の業者の対応は十分か。


4.検査キットそのもの信頼性。


5.検査を受ける業者の信頼性はどうなのか。


等が挙げられます。


これらを加味して自宅検査や郵送検査を受ける際の注意点を以下にまとめてみました。


1.検査を受ける前に自分が受けようとする検査の種類を確認する必要があります。


何故なら検査の種類によって受ける時期が異なるからです。


2.それぞれの検査に適した検査を受ける適切な時期に検査を受ける必要がある。


早すぎると信頼できる結果が得られません。


3.指示書通りに正しく検査を実施する。

間違った方法で検査をすると正しい結果が得られません。


4.自宅検査は、厚生労働省は認可していませんので、受けるのは自己責任で受ける。


5.郵送検査は検査を実施する会社が許可を受けて実施していますが、全ての会社が精度の高い検査で実施しているとは限らない事を理解して注意して選ぶ必要がある。


6.陽性となった場合は、即HIVに感染しているとは限りませんので、追加試験や確認試験などのフォロー体制のしっかりした会社を選ぶ必要があります。


実際検査が陽性なった場合のフォロー体制が不十分な会社も存在します。


自分で検査を実施して陽性となった時には、医療機関で追加試験や確認試験を受ける必要があります。


簡単で便利な検査は、それに伴うリスクが有ることを十分に理解して利用する必要があります。

2023年10月20日金曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-14.NAT検査は何処で受けることが出来るのか?-

ここで言うNAT検査は、リアルタイムPCR検査のことです。


本当のNAT検査は、血液センター専用の検査で医療機関では受けることは出来ません。


何度も申し上げていますが一般的にNAT検査と呼ばれるのは、リアルタイムPCR検査のことです。


※ここではあえて皆が使用するNAT検査と言います※


NAT検査は全国何処の医療施設でも受けることが出来ます。


医療施設の大小(大学病院から個人のクリニック)は関係ありません。


検査の種類は膨大な数あり、幾ら大学病院でもすべての検査を自施設で検査することは不可能です。


当然中小の病院やクリニックではなおさら検査することが出来ません。


その為に医療機関から検査を請け負う検査専門の会社があります。


検査を請け負う会社は全国にあり、全国全ての医療機関の検査を請け負って検査します。


NAT検査ができない医療機関は、検査専門の会社に検査を依頼することになります。


全国の医療機関は大小にかかわらず全て検査専門の会社と契約をしています。


従ってNAT検査を受けることの出来ない医療機関はありません、全国どこの医療機関でも検査は受けることが出来ます。


では、何故NAT検査を受けられない医療機関があるのでしょうか?


以下に分析してみます。


1.医師がNA検査を検査専門の会社に依頼できることを知らない。


2.多くの人がNAT検査ということから、NAT検査は血液センター専用の検査で当然検査専門の会社でも検査できないと勘違いしている。


これは、NAT検査とリアルタイムPCR検査の区別ができない医師に多い。


3.HIV検査としてのNAT検査の依頼を受けること自体を嫌い、検査できないという医師がいることも事実です。


要するにHIV検査に関わりたくない医師もいることは事実です。


それではNAT検査を受けるためにはどうすればよいのか?


1.HIV検査のことを理解している性病専門の医師に検査を依頼する。


2.NAT検査という表現を避けてHIVのリアルタイムPCR検査を受けたいと申し出る。


3.自分の施設では出来ないと言われた時には、検査専門の会社に検査を依頼してほしいて申し出る。


上記のようにすればNAT検査は、全国何処の医療機関で受けることが出来ます。


お役に立ちましたでしょうか??!!


最後に一言、HIVのリアルタイムPCR検査は、2023年現在HIV-1しか検査できません。


HIV-2のPCR検査はありますが、一部の研究施設で研究として検査されていますが、検査として認可されていませんので当然保険適応もなく、医療機関で受けることは出来ません。

2023年10月18日水曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-13.HIV抗体検査が陽性となれば必ずHIVに感染していると言えるのか!!-

1.HIV抗体検査が陽性となった場合


適切な時期に受けて陽性となっても必ずHIVに感染しているとは言えません。


何故ならHIV抗体検査にも偽陽性反応(ニセの陽性)があるからです。


この場合以下の確認検査を行います。


1)日を改めて再度採血してHIV抗体検査を行う、この場合一度陽性となった検査を再度実施する、異なる検査法で実施するのふたつの方法があります。


日を改めて採血して検査を実施すれば、本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、感染していなければ陰性となります、陰性となれば前の検査での陽性は偽陽性反応と言えます。


陽性となった場合、HIV-1とHIV-2のいずれに感染しているかの判断はできません。


HIV-1とHIV-2のいずれに感染しているかは、HIV-1とHIV-2の鑑別検査をする必要があります。


2)確認検査としてウエスタンブロット検査を実施する。


本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、陰性となればHIVに感染していないと言えます。


3)リアルタイムPCR検査を実施する。


本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、陰性となればHIVに感染していないと言えます。


※但しこの場合は、HIV-1の感染で、HIV-2の感染の判断はできません※


2.抗原抗体検査が陽性


1)30~50日で陽性となる。


この場合はHIV-1の抗原が検出された可能性がありますので、リアルタイムPCR検査で確認検査をします。


確認検査のウエスタンブロット法ではこの時期検査をする時期として早すぎるために感染していても陰性(偽陰性反応)となってしまいます。


2)12週で陽性となる


・この場合はHIV-1抗体かHIV-2抗体のいずれか、また両方の抗体が検出された可能性がありますので、日を改めて再度採血してHIV抗体検査を行う、この場合一度陽性となった検査を再度実施するか、異なる検査法で実施する方法があります。


日を改めて採血して検査を実施すれば、本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、感染していなければ陰性となります、陰性となれば前の検査での陽性は偽陽性反応と言えます。


・確認検査としてウエスタンブロット検査を実施する。


本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、陰性となればHIVに感染していないと言えます。


・陽性となった場合、HIV-1抗体かHIV-2抗体のいずれかに感染しているかの鑑別検査が必要となります。


・リアルタイムPCR検査を実施する。


本当にHIV-1に感染していれば陽性となりますが、陰性となればHIV-1に感染していないと言えます。


※HIV-2の判断はできません※


3)リアルタイムPCR検査が陽性


ほぼ100%近くHIV-1に感染しているといえます。


確認検査としては日にちを改めて採血して、再度リアルタイムPCR検査を実施し、陽性となればHIV-1に感染していたと言えます、陰性となった場合は前回のリアルタイムPCR検査が偽陽性反応(ニセの陽性)ということになります。


現実全自動で検査するリアルタイムPCR検査の偽陽性反応は、極めて低い確率でしか発生しません。



2023年10月16日月曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-12.迅速抗原抗体検査ダイナスクリーン・HIV Comboの判定(陰性事例と判定無効事例)

陰性・・・・・コントロール判定窓だけに赤色ラインが現れ、抗原判定窓及び抗体判定窓には赤色ラインが認められない場合。




判定無効(再検査)・・・コントロール判定窓に赤色ラインが認められない場合は、陽性・陰性とは判定できず判定無効とし、再度検査を実施する。





(左)抗体判定窓(AB)に赤色ラインが認められても、コントロール判定窓(C)に赤色ラインが認められない。


(左より二番目)抗原判定窓(AG)に赤色ラインが認められても、コントロール判定窓(C)に赤色ラインが認められない。


(左より三番目)抗原判定窓(AG)と抗体判定窓(AB)に赤色ラインが認められても、コントロール判定窓(C)に赤色ラインが認められない。


(右端)抗原判定窓(AB)と抗体判定窓(AB)に赤色ラインが認めらなく陰性と判断できそうですが、コントロール判定窓(C)に赤色ラインが認められないことから陰性ではなく判定無効。


※この検査の大切なことは、必ずコントロールラインに赤色のラインが認められない場合は、いくら抗原や抗体のラインに赤色のラインが認められても判定は無効として、再度検査を実施することです※






2023年10月14日土曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-11.迅速抗原抗体検査ダイナスクリーン・HIV Comboの判定(陽性事例)-

検体滴下20分後にコントロールラインと抗原判定ライン及び抗体判定ラインを肉眼で観察し、赤色ラインの有無を確認して判定する。


1.陽性・・・抗原及び抗体判定窓及びコントロール判定窓の両方に赤色ラインが現れた場合。



C・・・コントロールライン(上段)

AG・・・抗原ライン(中段)

AB・・・抗体ライン(下段)


(1)HIV-1のp24抗原陽性・・・Cのコントロール判定窓に赤色のラインが認められ、AGの抗原判定窓に赤色ラインが認めら、ABの抗体判定窓に赤色ラインが認められない。





(2)HIV抗体陽性・・・Cのコントロール判定窓に赤色のラインが認められ、ABのHIV抗体判定窓に赤色のラインが認められ、AGの抗原判定窓に赤色ラインが認めらない。



(3)HIV-1抗原とHIV抗体が共に陽性・・・Cのコントロール判定窓に赤色のラインが認められ、AGの抗原判定窓とABのHIV抗体判定窓の両方に赤色のラインが認められる。



 

2023年10月12日木曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-10.HIV検査を受ける際の注意点-その2.迅速抗原抗体検査-

 【迅速抗原抗体検査とは】


イムノクロマトグラフ法を用いて、血清、血漿及び全血中のHIV-1の抗原であるp24及びHIV-1とHIV-2抗体の検出をおこなう第四世代(抗原+抗体)のHIVスクリーニング検査試薬です。


【迅速抗原抗体検査の種類】


日本国内では、エスプラインHIV Ag/Abとダイナスクリーン・HIV Comboの2キットが厚生労働省から認可受け使用されています。


【検査の特徴】


血清、血漿は検体滴下の1ステップ、全血は検体滴下1分後に全血展開液を滴下する2ステップ、と操作が容易であり、短時間(20分~40分)で結果が得られます。


さらに、イムノクロマトグラフ法でオート機器装置に匹敵するような高感度化を実現し、血液遠心分離機など検査設備が整っていない場所や状況においても、高感度なHIVスクリーニング検査を実施できるメリットがあります。


【検査の原理】


検体中にHIV抗体が存在していると、抗HIV抗体は、シート下部のセレニウムコロイド標識HIV抗原と反応し、抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原の結合物を形成する。


この結合物はシート上を移動して、シート上部に固相化されたHIV抗原と結合し、固相化HIV抗原-抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原のサンドイッチ型の結合物を形成する。


結果はシート上の判定窓に出現するセレニウムコロイド由来のライン(ダイナスクリーン・HIV Comboは赤色のライン・エスプラインHIV Ag/Abはブルーのライン)の有無により判定します。


【受ける時期】


HIV-1の抗原を検出するには、不安な行為から30~50日以内に受ける必要があります。


30日以前に受ければ感染していても抗原の量が少なく偽陰性となる可能性があります。


また、50日以降に受ければ感染していても抗原の量が少なくなっていることから偽陰性となる可能性があります。


HIV-1/-2の抗体は不安な行為から12週で受けないと信頼できる結果は得られません。


※HIV-2の抗原は検出することは出来ません※


【偽陰性反応】


どのような検査でも受ける時期が早すぎると、偽陰性反応は起きてしまいます。


HIV-1の抗原は不安な行為から30~50日以内にで受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。


HIV-1/-2の抗体は不安な行為から12週(84日)で受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。


【偽陽性反応の起きる原因】


判定を厳格にしすぎることから機械で行う抗原抗体検査に比べて、偽陽性反応が多く出現する傾向はどうしてもあります。


判定時間経過後のラインの出現を陽性と誤判定することがあります。


※判定時間は厳守する必要があります※


どのような時に起きるのかははっきり解明されていません。


HIVに感染していないのに毎回陽性となる人もいることも事実です。


【検体として利用する種類によって検査結果に差があるのか】


この検査は、全血・血漿・血清のいずれでも検査が可能です。


血漿・血清・全血を利用しての検査では、検出感度・特異度共に変わりがありません。


全血を使用すると赤血球の赤色の色調によって偽陽性反応の出現率が高くなる傾向が見られます。


2023年10月8日日曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-9.リアルタイムPCR検査はHIV-2を検出できるのか?-

【リアルタイムPCR検査とは】


HIV1-RNA定量検査のことです。


PCR法を基本原理とする核酸増幅法の一種で、ウイルスの遺伝子の一部の核酸を取り出し、その核酸を倍々で増やして、増えた核酸を検出することで遺伝子の有無を確認する検査法です。


【リアルタイムPCR検査はどのようなときに使用するのか?】


1.HIV-1のスクリーニング検査


2.HIV-1の確認検査


3.HIVの治療における血液中のHIVの量


【検査を受ける時期】


不安な行為から11日以降鉄受けても信頼できる結果が得られます。


【偽陰性反応の出現は】


不安な行為から11日前に受けるとHIVに感染していてもHIVの量が少ないとニセの陰性(偽陰性反応)となります。


【偽陽性反応の出現は】


機械を使用して検査を行うため人的ミスが介在しないことから、ニセの陽性反応(偽陽性反応)の出現は極めて低いです。


しかし採血時や検査の際の血液の取り扱い時にクロスコンタミネーション(他の微生物やウイルスの混入)が起こるとニセの陽性反応(偽陽性反応)が起こることがあります。


現在のリアルタイムPCR検査については、、偽陽性反応も偽陰性反応の発生頻度は極めて低いです。


【リアルタイムPCR検査はHIV-2を検出できるのか?】


検出できません。


HIV-2の検査は不安な行為から12週以降にHIV-2の抗体検査を受けないとわかりません。


【リアルタイムPCR検査とNAT検査は同じものか?】


NAT検査とは核酸増幅検査(Nucleic acid Amplification Test)略称で、ウイルスの遺伝子の一部の核酸を取り出し、その核酸を倍々で増やして、増えた核酸を検出することで遺伝子の有無を確認する検査法です。


リアルタイムPCR検査とNAT検査は全く異なる検査で、NAT検査は献血で得られた血液のHIV-1/-2・HBC・HCV・HEVを調べる血液センター専用の検査で、医療機関や保健所で受けることは出来ません。


NAT検査はHIV-2を検出することは可能ですが、リアルタイムPCR検査は、HIV-2を検出できません。


【大切な追加の話】


一般的にリアルタイムPCR検査を含めて、NAT検査と総称していますが、NAT検査は血液センター専用の検査法で、リアルタイムPCR検査は医療機関と検査会社専用の検査法で全く別の検査法です。


NAT検査という呼び方が一般的なっていることから、便宜上HIVのPCR検査をNAT検査と呼んでいるだけです。

2023年10月6日金曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-8.HIV検査を受ける際の注意点-その1.迅速抗体検査-

迅速抗体検査は、イムノクロマト法により検体( 血漿、血清又は全血) 中の抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体を検出する試薬です。


【迅速抗体検査の種類】


ダイナスクリーンは、アリーア メディカル株式会社から販売されています。


日本国内では、厚生労働省の認可を受けたキットはこれ一つだけです。


※通販で販売されている迅速抗体検査キットは、製造元での認可は受けていても日本の厚生労働省の認可を受けていないので注意してください※


【検査の原理】


検体中にHIV抗体が存在していると、抗HIV抗体は、シート下部のセレニウムコロイド標識HIV抗原と反応し、抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原の結合物を形成する。


この結合物はシート上を移動して、シート上部に固相化されたHIV抗原と結合し、固相化HIV抗原-抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原のサンドイッチ型の結合物を形成する。


結果はシート上の判定窓に出現するセレニウムコロイド由来の赤色のラインの有無により判定します。


【受ける時期】


血液中に十分なHIV抗体が存在しないと、HIVに感染していても偽陰性反応を引き起こすことから、受ける時期が大切です。


受ける時期としては、不安な行為から12週(84日)で受ければ信頼できる結果が得られます。


【保健所では30~60日といっているが??!!】


HIVの感染していて検査で見つかるHIV抗体検査が血液中に産生されていれば、陽性となりますが、殆どの場合30日では血液中のHIVの抗体の量が少なくその結果偽陰性反応となってしまいますから、この時期検査を受けて陰性となっても感染していないとは言い切れません。


【不安な行為から30~60日で受けて陰性となったときの対処方法】


再度不安な行為から12週後に受けることです。


12週で受けて陰性であれば、HIVの感染はなかったことになります。


本当にHIVに感染していればこの時期に受ければ陽性となります。


※※真の陽性と判断するには確認検査で陽性となる必要があります※※


【保健所で30~60日で受ければよいというのは間違いか】


保健所で30~60日で受ければよいというのは間違いでもなく、間違っているとも言えません。


なぜならその理由は以下のとおりです。


・この時期受けて陽性となる人もいます。


・しかし感染していても陰性となる人の方が多いのも事実です。


・よくほとんどの人が見逃しているのは、不安な行為から30~60日で受けて陰性であっても再度3ケ月で受け直す必要があると言っています。


※※『再度3ケ月で受け直す必要がある』ことを見逃しているのです※※


早く検査を受けたい人のために30~60日でも検査を受けられると行っていると解釈しておくことです。


この時期に第3世代のHIV抗体検査を受けても、信頼できる結果は得られる確率は非常に低いということです。


【偽陰性反応】


どのような検査でも受ける時期が早すぎると、偽陰性反応は起きてしまいます。


不安な行為から12週(84日)で受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。


【偽陽性反応】


どのような検査でも偽陽性反応は起きます。


HIV抗体検査はHIVの感染している人を見つけるスクリーニング検査ですから、見逃さないように検出感度を非常に高くしていますから当然偽陽性反応は起きます。


これはスクリーニング検査の持つ宿命でどうしても無くすことは出来ません。


特にイムノクロマト法を利用した検査は、肉眼で判定することからどうしても判定者の主観に左右されてしまいます、その結果どうしても偽陽性反応の発現率が機械を使用した検査法に比べて高くなる傾向にあります。


【偽陽性反応の起きる原因】


判定を厳格にしすぎることから偽陽性反応が多く出現する傾向はどうしてもあります。


判定時間経過後のラインの出現を陽性と誤判定することがあります。


※判定時間は厳守する必要があります※


どのような時に起きるのかははっきり解明されていません。


HIVに感染していないのに毎回陽性となる人もいることも事実です。


【検体として利用する種類によって検査結果に差があるのか】


この検査は、全血・血漿・血清のいずれでも検査が可能です。


血漿・血清・全血を利用しての検査では、検出感度・特異度共に変わりがありません。


全血を使用すると赤血球の赤色の色調によって偽陽性反応の出現率が高くなる傾向が見られます。


【まとめ】


1.第3世代のHIV抗体検査は、不安な行為から12週(84日)で受けること。


2.30~60日で受けて陰性であっても、再度不安な行為から12週(84日)で受けること。


3.陽性となっても確認検査で陽性とならない限り、本当にHIVの感染しているとは言えな

い。


4.判定時間の厳守しないと、ニセの陽性ラインが出現します。


5.コントロールラインに必ず赤のラインが出ている必要があります。

コントロールラインに必ず赤のラインが確認されないと、検査は正しく行われていないので再検査の必要があります。


2023年10月4日水曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-7.HIV感染のタイムテーブルとは-

1.HIVに感染後5日間は、暗黒期(eclipse period:イクリプス ピリオド)と呼ばれどの検査法でも感染を証明することは不可能です。


※暗黒期(eclipse period:イクリプス ピリオド)とは、 細胞がウイルスに感染したにもかかわらず、子孫となるウイルスを合成するまで、ウイルスの存在が確認できない期間※


2.感染後6~8日においては、核酸増幅検査(リアルタイムPCR)で検出可能とされていますが、実際は11日以降に受けることで感染を見逃すことはありません。


3.感染後13~18日においては、HIV-1ウイルス蛋白(p24抗原)が検出可能となるりますが、その量が少ないと見逃す可能性が高いことから、感染後30~50日以内に受ければ見逃すことはありません。


※p24抗原は、HIV-1のカプシドの構造蛋白で、感染初期に検出され抗体陽転(seroconversion:セロコンバージョン)すると消失します※


※HIV抗体が産生される前比較的初期HIV感染を検出できます※


4.感染後20日でIgM抗体検出が可能となりますが、やはり血液中のIgM抗体が少ないと見逃してしまいます。


5.感染後30日でIgG抗体検出が可能となりますが、やはり血液中のIgG抗体が少ないと見逃してしまいます。


第四世代のHIVの簡易検査は、HIV-1の「構造蛋白」p24抗原とIgM、IgGの抗体検出可能とされていてp24が感染後13~18日からわかることからして、不安な行為から3週間経過していればほぼ判定可能と言われていますが、人によっては血液中のp24抗原とIgM、IgGの抗体の量が少ない場合偽陰性となってしまいます。


従って第四世代のHIVの簡易検査は不安な行為から30日以降に受ければ偽陰性は防止できます。


6.確認検査


HIVスクリーニング検査で陽性となった場合、HIV-1とHIV-2をWestern Blotting(WB:ウエスタンブロット)法で鑑別確認を行いますが、この検査は感度が悪いことから、核酸増幅検査(リアルタイムPCR)で陽性となった場合や抗原抗体検査の早い時期に陽性となった場合は、あまり役に立たない検査です。


早期に陽性となった場合は、核酸増幅検査(リアルタイムPCR)で確認検査を行います。


HIV-2とはHIV-1発見より数年後に発見されたウイルスで西アフリカに多く、HIV-2に感染してもAIDSはめったに発症しません(LTNPs : long-term non-progressorsと言います)。


HIV感染して5年後AIDSを発症しないのはHIV-1が67%、HIV-2は100%という調査結果があります。


HIV-2が特に多い地域は、象牙海岸、ブルキナファソ、ギニアビサウ、セネガル、ガンビアなどの西アフリカ諸国です。


HIV-2は核酸増幅検査(リアルタイムPCR)やp24抗原で見つけることは出来ず、抗体検査のみでしか検出できませんので、HIV-2の感染を疑った場合は、確認検査としてWB法を行います。


HIV-2抗体は感染後12週で検出可能となりますから、現在でもHIV抗体検査でしか見つけられません。


日本国内でのHIV-2感染者は数例しか見つかっていません。


※血液センターで実施しているNAT検査は、HIV-2を見つけることができます※ 

2023年10月2日月曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-6.HIVの感染率は?-

その場の状況によって変わりますので一概に%で答えることは出来ませんが、感染推定確率を参考のために紹介しておきます。


輸 血 90%

静脈注射ドラッグ使用時の針の共有0.67%

医療現場での針刺し事故 0.3%

膣を使ったセックス(女性側) 0.1%

膣を使ったセックス(男性側) 0.05%

アナルセックス(受け入れ側) 0.5%

アナルセックス(挿入側) 0.067%

フェラチオ(受け入れ側) 0.01%

フェラチオ(挿入側) 0.005%

クンニンリングス(行為をする側) 0.001%

クンニンリングス(行為を受ける側) 0.005%以下

リミング(行為をする側) 0.001%以下

リミング(行為を受ける側) 0.0001%以下

キス 0.0001%以下

※ 注 意 ※

1.%は1回あたりの暴露(行為)で感染する可能性。

2.性行為・肛門性交・オーラルセックスはいずれもコンドームを使わない場合。

3.この推定確率の計算は、国内外の情報を基に血液の鉄人が作成したものですから、100%正しいとは限りませんので、参考数値としてご理解下さい。 

HIV/AIDSを正しく認識しょう-18.HIV感染による初期症状について-

【いつ頃現れるのか】 HIVに感染してから通常2~6週以内に現れます。 【HIVに感染した人全てに現れるのか】 感染した人の約半数から2/3に、これらの症状が起こることがあります。  全ての感染者にこのような症状が現れるとは限りませんし、全く症状の現れない人もあります。 【初期症...