2023年8月31日木曜日

クラミジア感染症について知ろう-3.クラミジアの血液検査は信頼性が低い??!!-

クラミジアの血液検査とは、通常、IgG抗体とIgA抗体という2種類のクラミジア抗体を検査します。

尿検査や性器や喉、肛門の粘膜検査では、感染してから2週間程度で検査ができますが、血液検査の場合は、4週以上経過しないと感染が分からないことが多いです。

また、クラミジアが完全に体の中からいなくなって治癒後にも、IgG抗体だけでなくIgA抗体も陽性となることから、現在感染しているのか、治癒後なのかが正確に判断できません。

実際、クラミジア抗体検査が陽性で、尿や粘膜からの検査を受け直した結果、現在クラミジアの感染はなく、過去に感染して治っていて、治療の必要のない事例が多く見られます。

血液でクラミジア抗体検査を受けても結局、通常の尿検査や粘膜検査を再度受け直す必要があることからして、クラミジアの血液検査を受けることはお勧めできません。

正確に感染判断をするには最初から尿検査や粘膜検査を受けることをお勧めします。

2023年8月24日木曜日

クラミジア感染症について知ろう-2.クラミジア感染症の検査について-

【検査】


1) クラミジア抗原の検出


現在クラミジアに感染しているかどうかがわかります。


2)即日検査


【男性】 採尿による検査


※クラミジアの感染がその日に判明することから、多くの施設で検査されていますが即日検査は精度が落ちることから、翌日~翌々日に結果報告が出るPCR検査等の検査を受けることをお勧めいたします※


【女性】


子宮口ぬぐい液や膣分泌液による検査。


3)血中クラミジア抗体(IgA、IgG検査)


男女とも血液で検査が可能ですが、以下のような欠点があります。


1.クラミジアが完全に体の中からいなくなって治癒後にも、IgG抗体だけでなくIgA抗体も陽性となることから、現在感染しているのか、治癒後なのかが正確に判断できません。


2.クラミジア抗体検査が陽性で、尿や粘膜からの検査を受け直した結果、現在クラミジアの感染はなく、過去に感染して治っていて、治療の必要のない事例が多く見られます。

3.血液でクラミジア抗体検査を受けても結局、通常の尿検査や粘膜検査を再度受け直す必要があることからして、クラミジアの血液検査を受けることはお勧めできません。


4.正確に感染判断をするには最初から尿検査や粘膜検査を受けることをお勧めします。


5)PCR検査


患部分泌物や尿およびうがい液検体中のクラミジア・トラコマチスを遺伝子診断法(リアルタイムPCR法)により迅速、高感度に検出する方法で極めて高感度で検出できます。


【治療】


男性でも女性でも、抗生剤の内服による治療となります。


(1) アジスロマイシン単回内服


(2) クラリスロマイシン・ミノサイクリン・ドキシサイクリンなどの7~14日間の内服


・有効率は90%前後となり100%ではないため、治癒したかどうかの確認検査が必要となります。


・服用中に飲酒をすると治癒率は下がります。


・内服中でも新しい交渉を持つと再感染する可能性があります。


・精巣上体炎や前立腺炎などの尿道以外の臓器にも感染が広がっている時は、(1)(2)を併用したりすることもあります。


【治癒の確認】


クラミジア抗原の検出によってクラミジア感染が診断された場合は、治療後にクラミジア抗原の消失を確認する必要があります。


治癒確認の抗原検査は薬剤投与後およそ3週間程度の間隔をおいて再検査し、クラミジア抗原が陰性となれば治癒判定とします。


【日本人の感染実態】


クラミジアは性行為感染症の中で最も多い感染症で、最近の報告では18~19歳の女性の10人に3人、20代では20人に3人が感染しているという統計調査があります。


風俗で働いている女性では、クラミジアの血清抗体が約9割陽性であったとの報告があり、さらに子宮頸管からクラミジアが60%程見つかったとの報告もありることから、風俗での感染拡大が指摘されています。


更に女性の感染者の5人に4人までが自覚症状がないことから、感染に気づくことがありません。


クラミジアは性器だけに感染するのではなく、咽頭に感染します、特に最近の性の多様化から、一般の若年者の性器や喉への感染が増加しています。


要するに一昔前までは性器感染がほとんどでしたが、近年の性行動が多様化し、男女とも咽頭への感染が増加してきているのもひとつの特徴です。



【感染予防】


コンドームなどの使用による性器粘膜の接触を伴わない行為や、お風呂場や空気感染などの間接的な感染はまずありません。


従ってコンドームの正しい使用で感染は防げます。


【HIV感染との関連性】


クラミジア感染により性器粘膜がただれることから、HIVへの感染率が通常の数十倍になるという統計もあるので、検査する際は併せてHIV検査もすることをお勧めします。

2023年8月22日火曜日

クラミジア感染症について知ろう-1.クラミジア感染症とは-

クラミジア・トラコマチス感染症は、クラミジア・トラコマチスが引き起こす性行為感染症のひとつです。


クラミジア・トラコマチスはトラコーマを引き起こす病原体で一昔前まではトラコーマを引き起こす眼感染症でしたが、現在では性行為感染症の病原体として知られています。


クラミジアは、性行為感染症の中で最も多い性行為感染症で、最近の報告では18歳から19歳の女性の10人に3人が、20代では20人に1人が感染しているという調査報告があります。


男性の場合は、感染している人のうち症状が出現したのは、約10%の方のみだったそうです。



更に世界中で感染が問題となっています。


【感染経路】


性交・オーラルセックス・キスなどにより粘膜に感染する。


【感染確率】


クラミジアは感染力が非常に強く、感染者との1回の性交渉で50%以上の感染するとの報告があります。


【感染場所】


感染部位は、男性は尿道、女性は膣内に感染し、咽頭や直腸には男女ともに感染する。


相手が咽頭感染している場合通常の口づけでは感染する可能性は低いが、ディープキスの場合は感染率が高くなる。


クラミジアの感染は、クラミジアが存在する場所に接触することによって感染しますので、性器に感染していても口中にクラミジアがいなければキスで感染することはありません。


【潜伏期間】


感染して1~3週間後に症状が現れる。


【症状】


1.男性


比較的サラッとした尿道分泌物や軽い排尿痛が出現します。


痛みや激しいかゆみなどの症状があれば病院を受診し治療が行われますが殆どの場合、全く無症状のない場合が多いことから感染に気付くことはまずありません。


尿道にクラミジア感染がある場合、咽頭からクラミジアが検出される割合は4~13%と報告されています。


2.女性


おりものが増える事がありますが、自覚症状が殆どないことからやはり感染に気付くことはまずありません。


感染機会後1~3週間後で、帯下が多少増加する子宮頸管炎を発症し、放置すると卵巣や卵管の周りに癒着を起こし、子宮付属器炎や骨盤腹膜炎を発症します。


この場合下腹部痛が見られることもありますが、女性でも無症候感染が半数以上で見られ、知らないうちに卵管周囲の癒着を起こし、将来の子宮外妊娠や不妊症の原因となることもあるので注意が必要です



喉頭感染では喉が痛くなり痰が増えたりしますが、やはり無症状のことが多く感染に気付くことはまずありません。


子宮頸管からクラミジアが見つかった場合、咽頭からクラミジアが検出される割合は10~25%と報告されています。


※海外では咽頭クラミジアの感染は、男女差は認められませんが、日本では女性の方が咽頭クラミジアの感染は多い傾向にあります※

 

2023年8月21日月曜日

梅毒について知ろう-14.梅毒バラ疹とは-

【梅毒バラ疹とはどのようなものなのですか?】


梅毒トレポネーマに感染し、治療をしないで3ケ月以上を経過すると、梅毒トレポネーマが血液によって全身に運ばれ、 手のひら、足の裏、体全体にうっすらと赤い発疹が出ることがあります。


バラ疹は斑丘疹状紅斑を呈して3~10mm程度の小さな紅斑を呈します。


色調としてはピンク・赤色・褐色など種々の色合いをしますが、しばしば落屑・膿疱・潰瘍などを起こすこともあります。


※落屑(らくせつ)とは、皮膚の表層が大小の角質片となってはげ落ちること※


しかし水疱となることは極めて稀です。


梅毒患者の50~80%に手握や足の裏にも発現します。


この発疹は小さなバラの花に似ていることから"バラ疹(ばらしん)"と呼ばれています。


【バラ疹はどれ位出ているのか】


バラ疹はたいてい数日から数週間で消えることからして、皮膚の変化以外には特に自覚症状がないため、 気づかない場合もあります。


バラ疹は治療をしなくても数週間以内に消え、再び再発を繰り返すこともあります。


バラ疹が消えると梅毒は治ったということです?


抗菌薬で治療しない限り、病原菌である梅毒トレポネーマは体内にいることから梅毒が治ったわけではありません。

梅毒トレポネーマは、依然として体内にいて体を蝕み続けてています。


【バラ疹の出現頻度】


バラ疹は、第2期梅毒患者の70%に認められ、梅毒患者全体の90%以上に認められる頻度の高い症状です。


【バラ疹に触れると梅毒トレポネーマに感染してしまうのですか?】


浸出液や膿などが出ていないバラに疹触れても梅毒トレポネーマに感染することはありません。


【バラ疹らしきものが体に出たときの対応】


梅毒トレポネーマに感染する危険性のある行為をしてしまったときには、迷わず梅毒の専門家である皮膚科医を受診 する必要があります。


梅毒バラ疹は、アレルギー、風しん、麻しん等に間違えられることもありますので、専門家である皮膚科医を受診する必要があります。

 

2023年8月19日土曜日

性行為感染症について

 【性行為感染症とは何ですか?】


性行為感染症(Sexually Transmitted Diseases:STD, Sexually Transmitted Infection:STI)は、性行為によって感染する病気の総称です。


性行為感染症は、膣性行為とディープキス・ペッティング・フェラチオ・クンニリングス・アナルセックス・道具を使った行為等 によって感染する全ての感染症を言います。


性行為の相手が、同性・異性の区別はありません。


【性行為感染症はどのようにして感染するのですか?】


本来は性行為によって感染する感染症を指しますが、近年の性の多様化により、性行為は膣性交にと止まらず、性行為に類似した行為(オーラルセックス)が行われています。 


たとえば、ファッションマッサージ・イメクラ・キャバレー・ホテトルなどが流行し、オーラルセックスなどのいわゆる 「お手軽セックス」が簡単で安価にできるようになり、それに伴い若者の世代に限らず、広い世代で性行為感染症が蔓延しています。


【性行為感染症の感染する場所はどこですか?】


性行為感染症の原因となる病原体は、体液(精液、膣液、血液など)の中に含まれ、おもに人体の粘膜(陰茎、膣、肛門、尿路)から感染します。


また、最近の性の多様化により、口腔・のど・気道へ感染することも多いのが現状です。

しかし、傷のない健康な皮膚からの感染のリスクは限りなく低いです。


【性行為感染症の世界の実情は?】


性の開放化が早期に起こった欧米先進諸国では、日本よりも早く性行為感染症の蔓延が問題化しましたが、欧米では感染予防に重点を置き 性教育を充実させ、小中学校時よりコンドームの重要性を重視して教育した結果、欧米の若者の多くは避妊というよりも感染症予防として コンドームを持っていることが当然のこととなっています。


このように性行為感染症に対する予防教育の充実により、欧米先進諸国では一般に性行為感染症は横這い、または減少傾向となっています。


反面、性の開放化が早期に進んでいた欧米では、元々が性行為感染症が多く流行しており、現在でもそれはあまり変化していないという現実もあります。


アメリカのテレビ番組では10代少女の4割がクラミジアに感染しているというショッキングなアンケート結果が公表されたこともありまた、疾病管理センターでも思春期の少女の4人に1人が少なくとも性行為感染症のひとつにかかっているとあるという調査結果を まとめています。


そのため、キリスト教系団体の中には、避妊行為をすること自体を教義に反すると考え、コンドームの使用を疑問視する動きもあります。


【性行為感染症の日本の実情は?】


日本での性行為感染症の現状は、欧米先進諸国と異なり、特にHIVに関しては1990年代以降に急増傾向にあります。


わが国で特に流行している性行為感染症は、淋病とクラジミアと梅毒です。


淋病は、大昔から存在する病気で、主に男性がかかりやすい病気で、欧米先進国ではすでに過去のものとなる傾向にありますが、日本だけでは近年、感染者が増加傾向にあります。


また、クラミジアは女性の感染者が増加しています。


更に梅毒は2015年から流行が始まり、2022年はここ10年来最高の10000人を超えて未だに大流行しています。


現在日本では、性行為感染者が600万人は存在しているとされています。


【性行為感染症にはどのようなものがあるのか】


日本性感染症学会、日本皮膚科学会などは独自に性行為感染症分類していますが、ここではこれらの学会資料に基づいて一般的な性行為感染症を列記しておきます。


梅毒

淋疾

軟性下疳

性病性リンパ肉芽腫

鼠径部肉芽腫

非淋菌性尿道炎  

性器ヘルペス

尖圭コンジローマ

性器伝染性軟属腫

疥癬

毛ジラミ症

膣トリコモナス症

ヒトパピローマウイルス感染症

赤痢アメーバ

A・B・C型肝炎

HIV感染症/AIDS

伝染性単核症

HTLV-1


これら感染症については当ブログにて順次紹介していきます。

2023年8月17日木曜日

梅毒について知ろう-13.扁平コンジローマとはどのようなもの-

【扁平コンジローマとは】


梅毒トレポネーマに感染後3ケ月が経過すると、第2期梅毒となり肛門周囲,外陰部,会陰部、乳房の下, 腋窩など皮膚ないし粘膜が互いに触れ合うところに生じるエンドウ豆くらいの大きさの扁平に隆起した柔らかい丘疹が出来ます。


名前のごとく扁平(へんぺい)に隆起したイボが湿っぽくなり分泌液を出す状態になり、 この皮疹を扁平コンジローマと言います。


この出来物である扁平コンジローマは浅い潰瘍を伴い、表面は湿っていて白色となってふやけた状態になります、 ここには梅毒スピロヘータが多量に存在これに接触することによりいとも簡単に感染を起こす危険な出来物です。


この出来物は、殆どは自覚症状はありませんが軽い痛みや痒みなどの不快感を伴うこともあります。


【尖圭コンジローマと扁平コンジローマは同じものなのか??】


尖圭(せんけい)コンジローマはヒトパピローマウィルスによって引き起こされ名前が似ていますが、扁平コンジローマとは全く異なる別の病気です。


【扁平コンジローマは梅毒に特徴的な症状!!】


梅毒トレポネーマに感染して出現する皮疹の中でも、扁平コンジローマは梅毒に特徴的ですから、 扁平コンジローマの様な疑わしい皮疹が出た場合は直ぐに皮膚科を受診して下さい。


梅毒トレポネーマに感染してから3ケ月が経過すると第2期になりますが,この症期の初めには梅毒性バラ疹が出現し, ついで丘疹性梅毒疹が発生しますが、扁平コンジローマはこの丘疹性梅毒疹の特異型です。

 


台風7号による被害のお見舞い

 このたびの台風7号により被災された方々に心からお見舞い申しあげます。


また復興にご尽力されている皆様には、心から感謝申し上げます。


早期の復旧をお祈り申し上げます。


2023年8月15日火曜日

梅毒について知ろう-12.梅毒初期硬結について-

梅毒トレポネーマに感染した時にできる初期硬結について解説していきますのでお付き合い下さい。


【梅毒初期硬結とは】


梅毒トレポネーマに感染している人との性的接触の機会があってから約3週前後に、梅毒トレポネーマの侵入した部位に大豆くらいの大きさのかたいしこりが発生します。


これが初期硬結という梅毒の最初の症状ですが、痛みもかゆみもありません。


この初期硬結は、オーラルセックスや性的接触のなかった箇所には出来ません。


要するに感染した箇所にできるのです。


【梅毒初期硬結のできる場所とは】


男性では、陰茎の先や包皮の内側に出来ます。


女性では、大小陰唇や腟の入り口にできます。


初期硬結の数は1個が普通ですが、2個以上できることもあります。


【梅毒初期硬結の症状とは】


大きさは1cm前後の軟骨様のしこりで赤みを帯びた色をして、痛みも痒みもありません。


やがてしこりは硬く盛り上がり、中心に潰瘍ができます、これを硬性下疳と呼びます。


このころの初期硬結では、表面の皮膚が破れて潰瘍となる硬性下疳に変わりやすいといわれていますし、 感染機会から1~2週後というように最近では普通より早く発症するものが増加しています。


やがて鼠径部リンパ節が痛みもないまま大きく腫れてきます、これを無痛性横痃といいます。


【梅毒初期硬結との接触は梅毒トレポネーマに極めて感染しやすい】


病変部には梅毒トレポネーマが大量に存在するため、梅毒初期硬結に性行為やオーラルセックスの際に接触することからパートナーに感染させてしまうことが多いのです。


【間違った認識にご注意】


初期硬結が出来ても治療せずに放置していても2~3週間ほどで症状は消えて無症状になることから、 治ったと錯覚してしまいますが、さにあらず身体の中には梅毒トレポネーマは常に存在して病気は静かに重症化していきます。


一度梅毒トレポネーマに感染すれば、治療しないと自然に治ることはありえません。


【梅毒初期硬結のできる場所の実例】


※相手が梅毒であった場合です※


1.キス・・唇や喉の粘膜や唇、舌にできます。


2.性行為・・男性は陰茎の亀頭部分や包皮の内側、女性は大小陰唇や腟の入り口にできます。


3.肛門性交・・肛門付近や肛門の内部に出来ます。


4.オーラルセックス


1)クンニリングス:男性が女性器(クリトリス、尿道口、膣、小陰唇、大陰唇)を直接舌や唇や歯などで舐めて性的刺激を与える行為


男性の場合唇、咽頭、舌などに出来ます。


女性の場合・・尿道口、膣、小陰唇、大陰唇にできます。


2)フェラチオ:女性が男性性器を口または舌を使って刺激する行為


男性の場合陰茎の亀頭部分や包皮の内側に出来ます。


女性の場合・・唇、咽頭、舌、唇などに出来ます。


3)アニリングス:肛門に口をつけ舌や唇、歯などで肛門から性的刺激を与える行為


する側・・唇、咽頭、舌などに出来ます。


される側・・肛門付近や肛門の内部に出来ます。


【梅毒の受診診療科は】


梅毒の検査診療科は、皮膚科が専門診療科です。


性行為やオーラルセックスをして、およそ3週間前後に、唇・喉・性器・肛門付近に痛みのないデキモノが出来た場合は、迷わず皮膚科を受診してください。


コンドームを使用しても梅毒トレポネーマの感染は、完全には防ぐことができず、 オーラルセックスでも簡単に感染しますから予防が難しいことからして、不安な行為をしてしまった場合は適切な時期に必ず梅毒検査を受けて下さい。


2023年8月13日日曜日

梅毒について知ろう-11.梅毒性ぶどう膜炎について-

梅毒は、主に性器に感染して性器に症状が現れますが、眼に症状が現れることがあります、これを梅毒性ぶどう膜炎と言います。


【梅毒性ぶどう膜炎とは】


梅毒トレポネーマの感染によりぶどう膜(虹彩、毛様体、脈絡膜)に炎症を起こす疾患で、充血、眼痛、比較的急激に視力障害を引き起こします。


【梅毒性ぶどう膜炎は梅毒トレポネーマに感染していつ頃起こるのか】

 

一般的にはいきなり眼に梅毒トレポネーマが感染することはありませんが、初期症状が消えてから1~3カ月後あたりの第2期以降 に結膜炎・角膜炎・虹彩毛様体炎・網膜炎・視神経炎を発症することがあります。


【梅毒性ぶどう膜炎の現状】


最近梅毒性の虹彩毛様体炎や視神経炎などは増えていると言われて、視力低下で眼科を受診して梅毒感染が判明する事例が増えています。


【梅毒性ぶどう膜炎の現状】


梅毒性ぶどう膜炎は第2期梅毒のおよそ5%にみられます。


【梅毒性ぶどう膜炎の症状】


症状としては後極部に限局した病変が見られ、硝子体混濁を伴いやすく、視神経乳頭炎など網膜血管炎を合併するなどの特徴 があるとされていますが、その症状は多彩で眼所見からだけの診断は困難で梅毒血清反応検査を行うことが必要となります。


虹彩毛様体炎とは、虹彩にある血管が反応して虹彩とその隣にある毛様体に炎症を起こす病気です。


一般的には両目に発症します。


視神経は、網膜で集められた光を脳に伝える神経線維の集まりです、そこに炎症が表れるのが視神経炎です。


視神経炎が怖いのは、放置するとやがて視神経萎縮が起きて失明に至るからです。


【梅毒の怖さ】


梅毒は性器だけでなく眼にも影響を与える危険な感染症です。


梅毒トレポネーマは、コンドームでは完全に予防できません、またキスやオーラルセックスでも簡単に感染してしまいます。


少しでも危険な行為をした場合は、必ず適切な時期に梅毒検査を受けることを強くお勧めします。


早期に発見し早期に治療を開始すれば、比較的短期間の抗菌剤の服用で完治しますが、感染後時間が経過すればするほど当然の ことながら抗菌剤の服用期間は長くなります。


梅毒トレポネーマに感染して性器粘膜が爛れて感染防護バリアが破壊されると、HIVの感染率が数百倍高くなるという怖い面が潜んでいることも認識しておく必要もあります。


2023年8月12日土曜日

梅毒について知ろう-10.口腔咽頭梅毒について-

【日本国内における梅毒流行の現状】


相変わらず国内の梅毒の流行は止まりません。


2022年の1月から7月下旬までの梅毒患者数は、8349人となっています。


【口腔咽頭梅毒とは】


梅毒トレボネーマは、膣性交や肛門性交で感染しますが、ディープキスを含むオーラルセックスでも口腔咽頭にも感染します。


口腔咽頭梅毒は、初期硬結、硬性下疳(第I期梅毒)、粘膜斑・乳白斑(第II期梅毒)といった梅毒特有の病変を引き起こすことが多いようですが、 HIV陽性者の梅毒再感染の場合は、それに当てはまらない非定型的な臨床像を呈する症例が多く見られています。


口腔咽頭梅毒の多くは第II期梅毒で発見されることが多く、第II期梅毒の30%において、有痛性の口腔内の浅い潰瘍形成がみられるとの報告がなされています。


口腔咽頭梅毒の症状とは


両側の軟口蓋に沿って、弧状に拡がる乳白斑や、口腔内に痛みのある潰瘍が多数できます。


口の中や喉に梅毒の症状が現れるのは、主に感染してから6~12週間後の第Ⅱ期です。


実際に口腔咽頭梅毒と診断された患者の半数以上は、食事するときに咽頭痛を感じるなどの違和感を感じたと訴えています。


【喉の主な症状としては】


1.軟口蓋のふちに沿って生じた粘膜斑は蛾が羽を広げたようにみえることから、“butterfly appearance(バタフライ兆候)”と呼ばれています。


2.舌の表面や舌の裏側に乳白斑が出来ることもあります。


3.粘膜斑以外にも口角のびらんや白斑や赤みが出現することもあります。


【口腔咽頭梅毒の診断】


梅毒トレポネーマ感染による口腔咽頭病変の鑑別診断は多くの症状を呈することからその診断は、臨床症状、血清反応、および生検による組織診によって判断されます。


【口腔咽頭梅毒を見逃さないためには】


口腔咽頭に梅毒トレポネーマが感染すると、喉に違和感を感じることもありますが、一般的には症状がない場合が多く感染に気づくことはまずありません。


従ってオーラルセックスをしてしまったときには、必ず適切な時期に梅毒検査を受けることが必須となります。


【口腔咽頭梅毒の受診診療科は】


口腔咽頭梅毒の検査診療科は、皮膚科が専門診療科です。


耳鼻咽喉科でも受診は可能ですが、多くの耳鼻咽喉科は対処していないことが多いので、受診前に事前に問い合わせることをお勧めします。


性病科や性病を扱う泌尿器科でも検査を受けられる場合もありますが、やはり受診前に事前に問い合わせることをお勧めします。


【気をつけたいこと!!】


性器への梅毒トレポネーマ感染を気にする人がいても、口腔や喉への梅毒トレポネーマ感染を気にしない人が多いことからして、多くの第三者に感染させることになります。


口腔咽頭梅毒は、キスやオーラルセックスで感染しやすいことを念頭に置いて行動して下さい。


新型コロナウイルスの流行に伴い、HIV検査や梅毒検査を受ける人が激減しています、これは流行に拍車をかけることになりますから、 危険な行為をしてしまったときは必ず適切な時期に検査を受けて下さい。

2023年8月10日木曜日

梅毒について知ろう-9.無症候性梅毒について-

無症候性梅毒とは、梅毒特有の症状を認めないが梅毒血清反応が陽性のものを言います。


当然生物学的偽陽性反応(BFP)を除外するためにTP検査(TPHAやFTA-abs)も行って梅毒トレポネーマ感染の確定が必要となります。

 

【無症候性梅毒の時期とは】


無症候性梅毒は、臨床的には以下の3つの時期がそれにあたります。


1.初感染後、全く症状が出ない時期


2.第1期から2期への移行期


3.第2期の発疹消失後


この時期、はっきりいって感染者に自覚が全くありませんので、知らないうちに第三者に感染させてしまうということが起きます。


初感染後全く症状を呈さない場合や、第1期から2期への移行期、第2期の発疹消退期や陳旧性梅毒(既に治癒しているが血清反応のみ陽性)などは臨床症状が見られません。


米国CDCでは、感染2年以内の無症状期を早期潜伏期、2年以降のものを晩期潜伏期と分類しています。


【晩期潜伏期梅毒には治療が必要としないものもある】


晩期潜伏期の中には、治療を要しないものも数多くあるので注意が必要となります。


検査を行うことで鑑別は可能です。


【日本での無症候梅毒の現状】

 

2021年1年間に分析できた梅毒患者7978人(男性5261人・女性2717人)中、2035人(25.5%)が無症候梅毒で、男女の内訳は男性5261人中1029人19.6%、女性2717人中1006人37%と圧倒的に女性に多い傾向が見られました。


【無症候梅毒はなぜ怖いのか】


梅毒トレポネーマに感染しても梅毒特有の症状が現れないことから、自分が梅毒である事が分からず第三者に感染させてしまうことです。


また梅毒トレポネーマに感染して性器粘膜が爛れることにより防護バリアが破壊され、HIVに感染するリスクが極めて高くなることです。


【無症候梅毒を防ぐには】


無症候梅毒は梅毒トレポネーマに感染しても症状が出ないことからして、適切な時期に梅毒検査を受けるしか解決策はありません。


従って梅毒トレポネーマに感染してもなんの症状も現れない場合があることから、感染する可能性のある行為をしてしまった時には必ず適切な時期に梅毒検査を受けることです。


2023年8月8日火曜日

梅毒について知ろう-8.梅毒トレポネーマに感染した場合の症状-

梅毒トレポネーマに感染してからの症状の経過を順序立てて紹介します。


【1.第1期梅毒】


梅毒トレポネーマに感染するとおよそ3週間後に、感染した部位に初期硬結・硬性下疳が出来るが、一般的に痛みなどはなく 無症候状態で経過します。


陰部に病変があるときには、鼠径リンパ節が左右対称に腫れますが痛みはありません。


これらの症状は治療をしなくても自然に消滅しますが、体内には梅毒トレポネーマが存在し、第三者に感染させてしまいます。


この時期が特に感染力が強いことから、梅毒の流行阻止には第1期梅毒の症状が現れた時に治療を開始することが重要とされています。


【2.第2期梅毒】


第1期梅毒の症状が出た後の4~10週後に発熱や皮疹が出現します。


皮疹は第2期梅毒の70%に認められ、梅毒患者全体の90%以上に認められる代表的なものです。


皮疹は3~10mm程度の斑丘疹状紅斑を呈し、色はピンク・褐色・赤色で全身に発生します。


その他粘膜疹や扁平コンジロームも出来てきます。


扁平コンジロームは、外陰部や肛門などの粘膜や皮膚が接触する部分に好発し、ダイズ大の扁平隆起性の腫瘤で表面から浸出液が出る ことが多く、この浸出液に多量の梅毒トレポネーマが含まれていることからこれに接触することにより簡単に感染してしまいます。


口の中には両側の軟口蓋に沿って広がる乳白色の粘膜斑が出来ます。


この粘膜斑はちょうど蝶が羽を広げているのに似ていることからも"バタフライ・アピアランス(butterfly appearance)"と呼ばれます。


またこの時期には全身のリンパ節が腫れますが、特に上腕骨の滑車上リンパ節の腫れは梅毒の特徴的な腫れです。


その他の症状としては、微熱・倦怠感・咽頭炎・食欲不振・体重減少・筋肉痛・関節痛などがあります。


この時期の血液検査では、感染者の半数以上に肝機能障害が現れ、アルカリホスファターゼが高値になりますが、血清ビリルビン値は 上昇しないという特徴的な検査所見を呈します。


また、一部の患者には胃に浸潤性または潰瘍性病変を引き起こすことから、しばしば悪性リンパ腫と間違われることがあります。


肛門性交を行う人は直腸にも病変が見られます。


結膜炎・角膜炎・虹彩毛様体炎・網膜炎・視神経炎を発症することがありますが、これを放置すれば失明する危険性があります。


【3.潜伏梅毒】


梅毒血清反応が陽性で、梅毒特有の臨床的症状が認められないものを潜伏梅毒と言います。


梅毒トレポネーマ感染後1年以内の潜伏梅毒はおよそ25%の患者で見られ、第2期梅毒の再発を起こすことから、 "早期潜伏梅毒"と言います。


それ以降の梅毒を"後期潜伏梅毒"と言います。


これは第1期及び第2期梅毒の時点で適切な治療を行わなかった場合、3分の2以上の患者が潜伏梅毒に移行します。


潜伏梅毒に移行した患者の25%前後が4年以内(多くは1年以内)に第2期梅毒の症状が再燃します。


潜伏梅毒になった患者のおよそ3分の1が晩期梅毒に移行してしまいます。


後期第3期(または晩期)潜伏梅毒は、性行為で相手に感染させることは殆どありませんが、胎児に先天性梅毒を引き起こす リスクはあります。


【4.第3期(または晩期)梅毒】


第3期(または晩期)は、適切な治療を行わなかった患者が感染時点から5~30年をかけて徐々に進行し 臓器の破壊性病変を引き起こしたものを言います。


治療を受けていない人の約3分の1に発生し、症状は軽いものから極めて重篤なものまで様々です。


神経梅毒・心血管梅毒・ゴム腫梅毒に分類されます。


現代の医療の発展により第3期(または晩期)の症例は極めて稀となっています。


※この時期は第三者に梅毒トレポネーマを感染させることはありません※


2023年8月6日日曜日

梅毒について知ろう-7.梅毒トレポネーマはどのようにして感染するの?-

【感染経路】


梅毒の病原体である梅毒トレポネーマは、傷口からの浸出液、精液、膣分泌液、血液などの体液に含まれていることから主に、粘膜や皮膚が、梅毒の病変部位と直接接触することで感染します。


具体的には、性器と性器、性器と肛門(アナルセックス)、性器と口の接触(オーラルセックス)、濃厚なキス等です。


実際には、多くの感染経路がありますが性器や肛門、口などの、粘膜を介する性的な接触が主な感染経路となっています。


喉に梅毒トレポネーマの感染があれば、唾液にも梅毒トレポネーマが含まれていることから唾液からも感染します。


※汗や涙の中には梅毒トレポネーマは存在しません※


【風呂での感染はあるのか】


入浴時の感染リスクとしては、病変と粘膜が接触するようなことがなければ感染しないと考えてよいでしょう。


可能性があるとすれば、肛門周囲に病変がある人が座った風呂椅子にすぐに座って肛門などの粘膜が接触することぐらいですが、座る前に洗い流せばこの確率は低くなりますし、浴槽につかることで感染するリスクとなると限りなくゼロに近いでしょう。


【梅毒トレポネーマは日常生活でも感染するのか】


血液や精液、膣分泌物に含まれている病原体を含んだ体液が、性行為時に性器や肛門、口などの粘膜や傷口などに直接触れると感染の可能性はありますが、空気感染はもちろん、日常生活の中で感染する可能性は限りなくゼロに近いといえます


【梅毒トレポネーマの感染確率】


梅毒トレポネーマの感染力は強く、1回の性行為でも、15~30%の確率で感染します。 


性器だけでなく、口やのどの粘膜(オーラルセックスやキス)、肛門や直腸の粘膜(アナルセックス)からも感染しますが、相手が初期梅毒であればその感染確率は更に高くなりす。


梅毒トレポネーマは乾燥、熱、消毒薬などに弱いため空気感染や経口感染することはなく、感染経路は性行為などの接触感染が主で、この他に輸血と母児感染が知られています。


【コンドームでは梅毒トレポネーマの感染は予防できない】


梅毒の予防には性行為の際にコンドームを使用することが有効ですが、症状のある部位によってはコンドームで覆うことができないため、完全に予防できないこともあります。


口に症状があればキスでも感染します。



 

2023年8月5日土曜日

梅毒について知ろう-6.TP抗体が一度陽性となると治療が完了しても一生TP検査が陽性で陰性化しない!!??-

 【梅毒トレポネーマに感染しTP抗体が一度陽性となると治療を行い完治してもTP抗体は陽性のままとなるのでしょうか?】


このことについて解説していきますのでお付き合い下さい。


梅毒トレポネーマに感染するとおよそ4週間でカルジオリピンに対する抗体が陽性となり、6週間以降にはTP抗体が陽性となります。


梅毒トレポネーマに感染してTP抗体が体内に出来る前に治療を開始しないと、一旦TP抗体が体内に出来てしまうと、治療によって体内の梅毒トレポネーマが無くなってもTP抗体が消えることなく残るのでいつまでもTP検査が陽性になり続けます。


カルジオリピンに対する抗体(STS抗体)は、治療によって完治すれば消失します。


【梅毒治療の鑑別検査にはTP検査は使用できない理由】


治療によって体内の梅毒トレポネーマが駆逐されても、一度体内に出来たTP抗体は陽性のままとなるので梅毒治療の判定にはTP検査は使用できません。


【それでは治療の判定にはどのような検査を使用するのか?】


治療の判定にはSTS検査を行います。


【治療完了後のTP検査陽性はどう解釈するのか】


完治後のTP抗体陽性は感染の名残みたいなもので、人には感染させませんし、自身の臓器にも悪影響を与えることはありません。


昔梅毒に感染したという名残にほかなりません!!


【TP抗体陽性を防止するには】


TP抗体を残さないためには、TP抗体ができる前か、TP抗体が出来て抗体価が低いうちに早期に治療を開始することです。


【TP検査を治療の判定に使用する医師もいる】


TP検査の意義がわからずTP検査が陰性になるまで治療を続ける誤った治療を実施する医師がいることは、残念なことです。

2023年8月4日金曜日

梅毒について知ろう-5.梅毒トレポネーマについて-

梅毒トレポネーマとは】


梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)とはスピロヘータの1種です。


スピロヘータとは、らせん状の形態をしたグラム陰性の真正細菌の一グループです。


梅毒トレポネーマはグラム陰性で、その特徴はらせん状形態していて活発に運動します。


自然界における唯一の宿主はヒトで、宿主がいなければ数日も生きていけません。


要するに体の外に出ると弱り、感染力が極端に低下していきます。


現在でも、試験管内の培養は不可能でウサギの睾丸内で培養する以外に方法は存在していません。


梅毒トレポネーマは、試験管内での培養は不可能なために、病原性の機構はほとんど解明されていませんが、 1998年には全ゲノムのDNA 配列が決定公開されています。


【梅毒トレポネーマの感染経路】


感染経路は、主に性行為ですが、キスを含むオーラルセックスにより、生殖器、口、肛門等の皮膚や粘膜の微細な傷口から侵入し感染します。


梅毒トレポネーマは感染力は強い病原菌ですが、梅毒トレポネーマ自体は非常に弱い病原体ですので、乾燥や温度変化 には非常に弱く、お風呂やトイレで感染するということはまず殆どありえません。


【梅毒トレポネーマには耐性菌がない??!!】


梅毒トレポネーマは、未だに耐性菌がなく特にペニシリンには感受性が高く治療には最も適しています。


欧米ではペニシリンGの筋注単回投与で治療を行いますが、わが国では長い間ペニシリンGの筋注投与が禁止されていましたが、梅毒治療に2021年9月、ベンジルペニシリンベンザチン(BPB)の筋注製剤「ステルイズ」が承認され使われるようになりました。


ペニシリン耐性は無いとされていますが、近年マクロライド耐性が報告されています。


【梅毒トレポネーマはどのくらい抗生物質を使用すれば体内からなくなるのか】


投与期間は第1期で2~4週間、第2期では4~8週間、第3期以降は8~12週間。


ペニシリン系抗菌薬に対してアレルギーがあるなどといった理由で使用不能の場合などは、テトラサイクリン系の ミノサイクリンや、マクロライド系のアセチルスピラマイシンなどを使用します。


クラミジアの治療に使われるクラビット、オゼックスなどのニューキノロン系抗菌薬やジスロマックは 梅毒トレポネーマには効力がありません。


ベンジルペニシリンベンザチン(BPB)の筋注製剤「ステルイズ」の使用より、これからは早期梅毒ならステルイズ240万単位の1回の筋注だけで治療可能となります。


【梅毒トレポネーマは抗生物質の適切な投与で完全に体内からなくなるのか?】


梅毒トレポネーマは適切な抗生物質の投与で完全に死滅します。


【梅毒トレポネーマに関する間違った認識】


1.梅毒に感染すると症状は抗生物質で治るが梅毒トレポネーマはいつまでも体内に残る


2.感染した梅毒トレポネーマは抗生物質で完全に死滅しないので完治はしない


3.体内に残った梅毒トレポネーマは体力が低下したり免疫力が低下したときに増殖して梅毒が再発する


4.完全に梅毒トレポネーマを体内から駆除できないので、梅毒トレポネーマが残っているため、いつまでも感染力を 持ったままになる


以上のようなことは絶対にありえません!!!


梅毒は適切な抗生物質治療によって完治します。

2023年8月3日木曜日

梅毒について知ろう-4.梅毒血液検査による偽陽性反応-

 【生物学的偽陽性反応とは】


梅毒血清学検査のSTS検査(Serologic Test for Syphilis)は、抗カルジオリピン抗体を抗原として検査をすることから、 梅毒トレポネーマに感染していなくても陽性反応が起こることがあります、 このような現象を生物学的偽陽性反応(BFP:Biological False Positive)と呼びます。


【生物学的偽陽性反応の発生機序】


STS検査で偽陽性反応が起きる原因としては、STS検査はカルジオリピンと言うリン脂質に対する抗体を検出する為に、 リン脂質は細胞質などの成分として生物界に広く分布していることから、梅毒以外の疾患でもリン脂質に対する抗体が 産生され、反応が陽性となることがあります。


【生物学的偽陽性反応の起こる原因とは】


生物学的偽陽性反応を呈する代表的な疾患としては、膠原病、慢性肝疾患、結核やHIV感染症などがありますが、 妊婦や高齢者などでも偽陽性となることがあります。


また健康人でも常にSTS検査が偽陽性反応を引き起こす人がいますが、この場合特に何が生物学的偽陽性反応を引き起こすか ははっきりわかっていません。


【生物学的偽陽性反応を防止するには】


したがって生物学的偽陽性反応を未然に防ぐには、梅毒の確定診断には梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum*TP)を抗原としたTPHA法( 梅毒血球凝集反応)とFTA-ABS法(梅毒蛍光抗体吸収法)を用います。


STS検査が陽性となっても、生物学的偽陽性反応を否定しない限り直ぐには梅毒トレポネーマに感染しているとは言えません。


TP検査を実施して陽性となって初めて生物学的偽陽性反応を否定でき、梅毒トレポネーマに感染していると判断できる訳です。


要するにSTS検査が陽性となり、TP検査であるTPHAやFTA-absを実して、TP検査が陰性となる場合は生物学的偽陽性反応 ということになります。


※TP検査でも偽陽性反応はありますが、その出現頻度は非常に低いです※


【生物学的偽陽性の発生頻度】


生物学的偽陽性の発生頻度ははっきりと分かっていません。


3年間に人間ドックで受診した14,337名中26名(0.18%)にBFPが認められたという研究報告が1993年に発表されていますが、 この数値も参考値と受け止めるべきでしょう。


血液の鉄人も16~18歳の女性85人を検査して、性経験もなく先天性梅毒でもないにもかかわらず、STS検査が絶えず陽性となる 女性を6人(16歳2人・17歳1人・18歳3人)経験しています。


 この女性達を5年間追跡調査しましたが、特に何の問題もなくBFPの起こる原因はわかりませんでした。


梅毒STS検査は、いつ何時生物学的偽陽性反応が起きても不思議はないということです。


2023年8月2日水曜日

梅毒について知ろう-2.梅毒検査の合理的な受け方-

 【梅毒検査の種類】


梅毒検査には、STS検査(Serologic Test for Syphilis)とTP検査(Treponema pallidum)の二種類があります。


不安な行為をして早く感染の判断をした時の検査の受け方を解説しみます。


検査の受け方を間違えば、正しい検査結果をえることは出来ません。


STS検査とTP検査の特性を正しく理解して検査を受ける必要があります。

 

1.STS検査(Serologic Test for Syphilis)


脂質抗原をプローブとして用いる抗体検査法がSTS法と総称されています。


用いられるプローブはカルジオリピン(cardiolipin)で、これは動物細胞のミトコンドリアに局在するジホスファチジルグリ セロール(diphosphatidylglycerol)です。


このプローブに反応する抗体は、トレポネーマ・パリーダムの感染により感染した体の組織が破壊されるのに伴い自己抗原が 認識されて産生された一種の自己抗体です。


この抗体を検出するために検査反応の安定性と再現性を高める意味でコレステロールとレシチンを混合した抗原がプローブに 使用されています。


自己抗体(レアギン)を検出することから、感染初期から陽性となります。


自己抗体を検出することから、トレポネーマ・パリーダムに対する特異性がないことからトレポネーマ・パリーダムに感染し ていなくてもその他の感染症、自己免疫疾患、 妊娠などにおいて生物学的偽陽性反応(BFP:biological false positive )を 呈することがよくあります。


2.TP検査(Treponema pallidum)


TPHA法(Treponema Pallidum Hemagglutination Test)は、トレポネーマ・パリーダムに特異的な抗体を測定する検査方法で、 トレポネーマ・パリーダム株より作成された抗原を用います。


ゼラチン粒子にTP抗原を感作して、血清中に産生されたTP特異抗体による架橋で生じるゼラチン粒子の凝集を判定します。


FTA-abs法(Fluorescent Treponemal Antibodyabsorption)は、検査を実施する前に非病原性トレポネーマ・Reiter 株で 血清中の非特異的な抗体(義陽性反応を引き起こす要素)を吸収した後に病原性のあるトレポネーマ・Nichols 株と反応させ、 間接蛍光抗体法で梅毒特異抗体を検出します。


梅毒を引き起こすトレポネーマ・パリーダムを抗原として利用することから、検査の特異性が高く生物学的偽陽性反応 (BFP:biological false positive )を呈することが非常に少ない。


STS検査に比べて感染後に陽性となる時期が遅れること、治療により体内からトレポネーマ・パリーダムが消失した後も 陽性状態(瘢痕陽性)が続くため、治療効果の 判定には使えません。


【梅毒検査の落とし穴】


STS検査は不安な行為から4週が経過した時点で受ければ信頼できる結果は得られます。


ただし梅毒に感染していなくても陽性(偽陽性)となる場合があります。


TP検査は不安な行為から5週以上経過した時点で受ければ信頼できる結果は得られます。

5週前に受けると梅毒に感染していても陰性(偽陰性)となる場合があります。


【梅毒トレポネーマの感染の判断を早くしたい場合】


梅毒トレポネーマの感染を早く知りたい場合は、IgM-FTA-abs検査を受けることです。


IgM-FTA-abs検査はIgM型のTP抗体を検出するための検査法です。


梅毒に感染した初期には、梅毒トレポネーマIgM抗体が先に出来て、その後IgG抗体が出来ます。


このIgM抗体は、梅毒に感染後1週間程度で体内にできることから、IgM-FTA-abs検査は梅毒に感染後1週間で受ければ 信頼出来る結果が得られます。


そのことからして、早く感染の診断を下したい時に利用される検査法です。


【注意】通常のFTA-absはIgG型のTP抗体を検出する検査法ですのて、感染後1週間で検査を受けても正しい結果は得られません。


【梅毒トレポネーマ感染後早く陽性となる検査法の順番】


1.IgM-FTA-abs検査


感染後1週間


2.FTA-abs検査


感染後3週間


3.STS検査(RPR検査)


感染後4週間


4.TPHA検査


感染後5~6週間


【保健所での迅速梅毒検査の落とし穴】


最近梅毒迅速抗体検査を利用して、即日に検査結果がわかると保健所等では言っていますが、梅毒迅速抗体検査は TP抗原を利用したイムノクロマト法ですから、梅毒の早期検査には適していません。


梅毒トレポネーマに感染後5~6週間経過して受けずにこれ以前に受けると、感染していても陰性となってしまいます。


以上をよくお読みになって正しく梅毒検査を受けて下さい。

梅毒について知ろう-3.梅毒迅速検査の落とし穴-

梅毒トレポネーマに感染して最初に出来る抗体とは】


梅毒トレポネーマに感染すると、体の細胞の一部が破壊されてカルジオリピン抗体が血液中に出てきます。


カルジオリピン抗体は梅毒トレポネーマに感染して約1ヶ月で現れ、STS(Serologic Test for Syphilis)検査で見つけることが可能です。


TPHAなどのTP(Treponema pallidum)抗原検査に比べて早い時期に陽性となるため、早期診断に適しています。


検査法としては、RPRカードテストやラテックス凝集法があります。


この検査はカルジオリピンというリン脂質に対する抗体を調べているため、梅毒以外の原因でカルジオリピンが存在していると偽陽性となってしまいます。


例えば、妊娠、膠原病、肝疾患、梅毒以外の感染症などでもカルジオリピン抗体が陽性になることがあります。


これを生物学的偽陽性反応(Biological False Positive:BFP)といいます

 

【梅毒トレポネーマに感染して次に出来る抗体とは】


梅毒トレポネーマに感染して5~6週後には、梅毒トレポネーマに対する抗体即ちTP抗体ができます。


TP抗体はTPを抗原とするTPHAやTPPAで検出可能で、STS検査のように偽の陽性反応を起こすことは殆どありません。


しかし感染後5~6週以前に受けると十分なTP抗体が出来ていないことから、偽陰性反応を呈してしまいます。


【梅毒トレポネーマの感染を早く知りたい時にはどうすればよいのか】


梅毒トレポネーマの感染を早期に発見したい場合には、4週ではSTS検査を受ける必要があります。


4週でTP検査を受けると感染していても陰性となってしまいます。


【梅毒迅速抗体検査の落とし穴】


最近梅毒迅速抗体検査を利用して、即日に検査結果がわかるとして保健所やクリニックで採用されていますが 梅毒迅速抗体検査はTP抗原を利用したイムノクロマト法ですから、梅毒の早期検査には適していません。


このことを理解できずに梅毒迅速抗体検査が多く採用されていますが、これは感染を見逃すことになります。


【梅毒トレポネーマの感染をいち早く知りたい時には!!】


梅毒トレポネーマの感染を早く知りたい場合は、IgM-FTA-abs検査を受けることです。


IgM-FTA-abs検査はIgM型のTP抗体を検出するための検査法です。


梅毒に感染した初期には、梅毒トレポネーマIgM抗体が先に出来て、その後IgG抗体が出来ます。


このIgM抗体は、梅毒に感染後1週間程度で体内にできることから、IgM-FTA-abs検査は梅毒に感染後1週間で受ければ 信頼出来る結果が得られます。


【注意】


通常のFTA-absはIgG型のTP抗体を検出する検査法で、梅毒トレポネーマに感染後3週で受けないと信頼できる結果は得られません。


【2023年における梅毒流行の現状】


2023年7月16日時点で8040人の患者が報告されています。


この結果からして200~100人に1人が梅毒患者ということになります。


梅毒トレポネーマは、30%の確率で感染し、相手が早期梅毒だと感染確率は60~80%程と極めて高くなります。


梅毒トレポネーマは、性行為だけでなくオーラルセックスでも簡単に感染しますし、コンドームでも完全には予防できません。


依然として流行は収まっていません。



【不安な行為をしたときには必ず梅毒検査を受ける】


梅毒トレポネーマに感染すれば、典型的な症状が出れば、感染の判断は可能ですが、典型的な症状の出ない場合が多いことから、 症状から梅毒トレポネーマの感染の判断はできません。


特に最近の梅毒は、典型的な症状が出ない場合が多いと言われています。


仮に症状が出たとしても、素人判断では正しい感染の判断はできません。


梅毒トレポネーマの感染の判断は、適切な時期に適切な検査を受けることです。


梅毒トレポネーマの感染は症状から分かりません。


2023年8月1日火曜日

梅毒について知ろう-1.日本における梅毒の現状-

梅毒について詳しく解説していきますので、これを参考に正しい予防に心がけてください。


初回は日本における梅毒の現状を解説します。


2023年7月16日時点での梅毒患者が8040人に達しました。


この結果からして200~100人に1人が梅毒患者ということになります。


このままの状態で行くと2022年の12964人を抜き過去最高となる可能性が高くなってきました。


2023年の患者を都道府県別でみると都市部で多い傾向が見られます。


患者全体の約80%を占める男性は各年齢層から偏り少なく報告されていますが、女性は20代が女性全体の50%超を占め患者増加が際立っています。


最近の梅毒は男性の同性間の性的接触による感染だけでなく、異性間での感染も広がり、患者増加傾向が見られますが、この増加の原因は突き止められていません。


特に妊婦が梅毒トレポネーマ感染すると死産・流産のほか、胎盤を通して赤ちゃんが感染し先天性梅毒となります。


これを防ぐには妊婦健診を必ず受けることです。


異性間性交による梅毒患者増加は、その裏にHIV感染者の増加が考えられます。


梅毒トレポネーマにに感染すれば、HIVの感染リスクが極めて高くなりますので、不安な行為をした場合には必ず梅毒検査を受けることです。


梅毒はコンドームでは完全に予防できませんし、オーラルセックスでも感染することを認識しておく必要があります。

 

梅毒トレポネーマの感染について


梅毒トレポネーマが、コンドーム無しの性行為により感染する性行為感染症のひとつですが、 オーラルセックスなどで皮膚や粘膜の傷に接触することで感染します。


梅毒トレポネーマは、らせん状の形態をしたグラム陰性の真正細菌のひとのグループに属します。


梅毒トレポネーマは、高温、低温、乾燥にも弱く簡単に死滅し、石鹸水などでも簡単に死滅することが知られています。


梅毒トレポネーマの感染する場所とは


膣性交・肛門性交・オーラルセックスにより感染しますが、皮膚や粘膜の微細な傷口からも感染します。


最近では喉への感染事例が多く報告されています。


梅毒トレポネーマに感染するとどうなるのか


潜伏期間は、一般的に3週間前後です。


梅毒トレポネーマに感染している人とのオーラセックスと性行為の機会があってから約3週前後に、梅毒トレポネーマの侵入した場所に大豆くらいの大きさの硬いしこりが出来ます。


症状としては、以下のように分類されます。


第1期梅毒


梅毒トレポネーマの侵入した場所に大豆くらいの大きさの硬いしこり、"初期硬結"が出来ます。


初期硬結は、梅毒感染の最初の症状ですが痛みもかゆみもありません。


男性では、ペニスの先や包皮の内側に、女性では、大小陰唇や腟の入り口にできます。


また、口唇や手指及び乳首など陰部以外にできることもあり、これを"陰部外下疳"と呼びます。


"陰部外下疳"の発生頻度は3%前後と低いです。


一般的に初期硬結の数は1個がですが、2個以上できることもあります。


この時期の初期硬結は、表面の皮膚が破れて潰瘍化した硬性下疳に変化しやすい状態となっており、 このただれた面には梅毒トレポネーマが多数存在し、触れた人に感染します。


※硬性下疳は痛みがありません、亀頭部や冠状溝に激しい痛みのある潰瘍ができるものは梅毒ではなく軟性下疳という性行為感染症です※


当然性行為やオーラルセックスにより、表面の皮膚が破れて潰瘍化した硬性下疳に口・性器などが接触すればそこから梅毒トレポネーマは意図も簡単に侵入して感染します。


現在では、感染機会から1~2週後という比較的早い時期に発症するものが増加しています。


やがて、鼠径部のリンパ節が大きく腫れてきますが、痛みは全くありません、これを無痛性横痃(むつうせいおうげん)と呼びます。


いずれの症状も2~3週間以内に自然に消失してしまいます。


以上の病変は、治療をしなくても数週間以内に自然に治り、第2潜伏期に入りますが、この間に梅毒トレポネーマは血流にのって全身に広がります。


第2期梅毒


梅毒に感染して3ケ月から3年以内に体内に侵入した梅毒トレポネーマは、増殖しながら血管やリンパ管を通過して全身に広がり、皮膚や粘膜にいろいろの症状を引き起こし始めます。


そして最初に出現するのは、皮疹と呼ばれる"梅毒性バラ疹"です。


このバラ疹は、丁度爪くらいの大きさで、暗赤色または淡紅色の斑点で、特に上半身の皮膚に多く出現し、 丁度赤いバラの花びらのような発疹が手足の裏から出てきて、全身に広がり、最終的には顔にも広がりますが、このバラ疹は、かゆみも痛みもないのが特徴です。


※手のひらや足の裏まで出ていれば、まず"梅毒性バラ疹"と判断して間違いはありません※


かゆみや痛みの自覚症状もなく、数週で自然消退するため梅毒トレポネーマの感染は見過ごされることも多い訳です。


梅毒性バラ疹は、治療しなくても数ケ月で自然消失します、その為に梅毒は治ったと勘違いしますが、治療を受けない限り絶対に自然に治ることはありません。


バラ疹が消失後、次に出てくる皮疹は"丘疹性梅毒疹"です、"丘疹性梅毒疹"は、梅毒に感染してから、およそ4~6カ月ごろに出現してきます。


"丘疹性梅毒疹"の大きさは大豆から爪くらいで、皮膚面より盛り上がった硬い皮疹で、左右対称に出現します。


出現当初は赤色をしていますが、日が経つと共に、茶色をおびた赤い隆起となり、上半身の皮膚に多く出現しますが、顔面にも出現します。


この時期、皮膚から盛り上がった"丘疹性梅毒疹"が出たり、膿を持った『梅毒性膿疱』が出たりし、これらどちらかの発疹が3~6か月の間隔で出現をくり返します。


又、手のひらや足の裏に"丘疹性梅毒疹"が出現しますと、丘疹の表面の角質が厚くなり、乾癬症状によく似ていることから、『梅毒性乾癬』と呼ばれます。


手のひらや足の裏に丘疹の表面の角質が厚くなり、乾癬症状によく似ているものが出来れば、梅毒感染が強く疑われます。


この時期は、当然梅毒血清反応は強陽性となります。


第3期梅毒


感染後3~10年の状態で、皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生しますが、現在ではこのような症例をみることは稀です。


この時期は血液検査でのみでしか梅毒感染の判断は出来ません。


第4梅毒


感染後10年以降の状態で、多くの臓器に腫瘍が発生したり、脳、脊髄、神経を侵され麻痺性痴呆、脊髄瘻を起こし、死亡に至ることがありますが現在ではまずありえません。


扁平コンジロームとはどのようなものなのか


"丘疹性梅毒疹"が、外陰部や肛門付近のように皮膚や粘膜が向き合っている様な湿り気のある場所に出来ると丘疹は牛乳のような白い色となり、表面がただれて分泌物がにじみ出てきますが、 これを"扁平コンジローム"といいます。


この扁平コンジロームの中に、大量の梅毒トレポネーマが含まれていて、性的接触や皮膚に触れると簡単に梅毒にいとも簡単に感染してしまいます。


※扁平コンジロームのある感染者とコンドーム無しの性行為をすれば、いとも簡単に梅毒に感染してしまいますし、コンドームを使用していても、 コンドームで保護されていないペニスの根本などが扁平コンジロームに接触しても梅毒に感染してしまいます、要するに梅毒トレポネーマはコンドーム使用で完全に感染予防することは不可能 なのです※


更にこの時期喉に梅毒トレポネーマの感染があると、口腔粘膜に乳白色の斑点が生じる乳白斑や扁桃が赤く腫れる"梅毒性扁桃炎"が出現します。


口の中の粘膜の粘膜に大豆ほどの大きさの乳白色のやや固めの乳白斑ができたり、扁桃付近に潰瘍(梅毒性アンギーナ)ができたりしますが、 口の中に梅毒性扁桃炎や梅毒性アンギーナのある人にフェラチオやクンニンリングスをされたり、ディープキスをすると梅毒にいとも簡単に感染してしまいます。


梅毒の怖い所以


梅毒トレポネーマに感染しても抗生物質の適切な使用によって完治しますが、性器に梅毒トレポネーマ 感染があれば、梅毒トレポネーマによって引き起こされた性器粘膜のタダレにより、感染症に対する感染予防バリアが破壊されていることから、 この部分からのHIV感染の感染リスクは数百倍高くなることです。


現に梅毒患者を診ればHIV感染を疑えとまで言われています。


HIV/AIDSを正しく認識しょう-18.HIV感染による初期症状について-

【いつ頃現れるのか】 HIVに感染してから通常2~6週以内に現れます。 【HIVに感染した人全てに現れるのか】 感染した人の約半数から2/3に、これらの症状が起こることがあります。  全ての感染者にこのような症状が現れるとは限りませんし、全く症状の現れない人もあります。 【初期症...