1.HIVに感染後5日間は、暗黒期(eclipse period:イクリプス ピリオド)と呼ばれどの検査法でも感染を証明することは不可能です。
※暗黒期(eclipse period:イクリプス ピリオド)とは、 細胞がウイルスに感染したにもかかわらず、子孫となるウイルスを合成するまで、ウイルスの存在が確認できない期間※
2.感染後6~8日においては、核酸増幅検査(リアルタイムPCR)で検出可能とされていますが、実際は11日以降に受けることで感染を見逃すことはありません。
3.感染後13~18日においては、HIV-1ウイルス蛋白(p24抗原)が検出可能となるりますが、その量が少ないと見逃す可能性が高いことから、感染後30~50日以内に受ければ見逃すことはありません。
※p24抗原は、HIV-1のカプシドの構造蛋白で、感染初期に検出され抗体陽転(seroconversion:セロコンバージョン)すると消失します※
※HIV抗体が産生される前比較的初期HIV感染を検出できます※
4.感染後20日でIgM抗体検出が可能となりますが、やはり血液中のIgM抗体が少ないと見逃してしまいます。
5.感染後30日でIgG抗体検出が可能となりますが、やはり血液中のIgG抗体が少ないと見逃してしまいます。
第四世代のHIVの簡易検査は、HIV-1の「構造蛋白」p24抗原とIgM、IgGの抗体検出可能とされていてp24が感染後13~18日からわかることからして、不安な行為から3週間経過していればほぼ判定可能と言われていますが、人によっては血液中のp24抗原とIgM、IgGの抗体の量が少ない場合偽陰性となってしまいます。
従って第四世代のHIVの簡易検査は不安な行為から30日以降に受ければ偽陰性は防止できます。
6.確認検査
HIVスクリーニング検査で陽性となった場合、HIV-1とHIV-2をWestern Blotting(WB:ウエスタンブロット)法で鑑別確認を行いますが、この検査は感度が悪いことから、核酸増幅検査(リアルタイムPCR)で陽性となった場合や抗原抗体検査の早い時期に陽性となった場合は、あまり役に立たない検査です。
早期に陽性となった場合は、核酸増幅検査(リアルタイムPCR)で確認検査を行います。
HIV-2とはHIV-1発見より数年後に発見されたウイルスで西アフリカに多く、HIV-2に感染してもAIDSはめったに発症しません(LTNPs : long-term non-progressorsと言います)。
HIV感染して5年後AIDSを発症しないのはHIV-1が67%、HIV-2は100%という調査結果があります。
HIV-2が特に多い地域は、象牙海岸、ブルキナファソ、ギニアビサウ、セネガル、ガンビアなどの西アフリカ諸国です。
HIV-2は核酸増幅検査(リアルタイムPCR)やp24抗原で見つけることは出来ず、抗体検査のみでしか検出できませんので、HIV-2の感染を疑った場合は、確認検査としてWB法を行います。
HIV-2抗体は感染後12週で検出可能となりますから、現在でもHIV抗体検査でしか見つけられません。
日本国内でのHIV-2感染者は数例しか見つかっていません。
※血液センターで実施しているNAT検査は、HIV-2を見つけることができます※