【梅毒トレポネーマに感染して最初に出来る抗体とは】
梅毒トレポネーマに感染すると、体の細胞の一部が破壊されてカルジオリピン抗体が血液中に出てきます。
カルジオリピン抗体は梅毒トレポネーマに感染して約1ヶ月で現れ、STS(Serologic Test for Syphilis)検査で見つけることが可能です。
TPHAなどのTP(Treponema pallidum)抗原検査に比べて早い時期に陽性となるため、早期診断に適しています。
検査法としては、RPRカードテストやラテックス凝集法があります。
この検査はカルジオリピンというリン脂質に対する抗体を調べているため、梅毒以外の原因でカルジオリピンが存在していると偽陽性となってしまいます。
例えば、妊娠、膠原病、肝疾患、梅毒以外の感染症などでもカルジオリピン抗体が陽性になることがあります。
これを生物学的偽陽性反応(Biological False Positive:BFP)といいます
【梅毒トレポネーマに感染して次に出来る抗体とは】
梅毒トレポネーマに感染して5~6週後には、梅毒トレポネーマに対する抗体即ちTP抗体ができます。
TP抗体はTPを抗原とするTPHAやTPPAで検出可能で、STS検査のように偽の陽性反応を起こすことは殆どありません。
しかし感染後5~6週以前に受けると十分なTP抗体が出来ていないことから、偽陰性反応を呈してしまいます。
【梅毒トレポネーマの感染を早く知りたい時にはどうすればよいのか】
梅毒トレポネーマの感染を早期に発見したい場合には、4週ではSTS検査を受ける必要があります。
4週でTP検査を受けると感染していても陰性となってしまいます。
【梅毒迅速抗体検査の落とし穴】
最近梅毒迅速抗体検査を利用して、即日に検査結果がわかるとして保健所やクリニックで採用されていますが 梅毒迅速抗体検査はTP抗原を利用したイムノクロマト法ですから、梅毒の早期検査には適していません。
このことを理解できずに梅毒迅速抗体検査が多く採用されていますが、これは感染を見逃すことになります。
【梅毒トレポネーマの感染をいち早く知りたい時には!!】
梅毒トレポネーマの感染を早く知りたい場合は、IgM-FTA-abs検査を受けることです。
IgM-FTA-abs検査はIgM型のTP抗体を検出するための検査法です。
梅毒に感染した初期には、梅毒トレポネーマIgM抗体が先に出来て、その後IgG抗体が出来ます。
このIgM抗体は、梅毒に感染後1週間程度で体内にできることから、IgM-FTA-abs検査は梅毒に感染後1週間で受ければ 信頼出来る結果が得られます。
【注意】
通常のFTA-absはIgG型のTP抗体を検出する検査法で、梅毒トレポネーマに感染後3週で受けないと信頼できる結果は得られません。
【2023年における梅毒流行の現状】
2023年7月16日時点で8040人の患者が報告されています。
この結果からして200~100人に1人が梅毒患者ということになります。
梅毒トレポネーマは、30%の確率で感染し、相手が早期梅毒だと感染確率は60~80%程と極めて高くなります。
梅毒トレポネーマは、性行為だけでなくオーラルセックスでも簡単に感染しますし、コンドームでも完全には予防できません。
依然として流行は収まっていません。
【不安な行為をしたときには必ず梅毒検査を受ける】
梅毒トレポネーマに感染すれば、典型的な症状が出れば、感染の判断は可能ですが、典型的な症状の出ない場合が多いことから、 症状から梅毒トレポネーマの感染の判断はできません。
特に最近の梅毒は、典型的な症状が出ない場合が多いと言われています。
仮に症状が出たとしても、素人判断では正しい感染の判断はできません。
梅毒トレポネーマの感染の判断は、適切な時期に適切な検査を受けることです。
梅毒トレポネーマの感染は症状から分かりません。
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