2023年10月12日木曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-10.HIV検査を受ける際の注意点-その2.迅速抗原抗体検査-

 【迅速抗原抗体検査とは】


イムノクロマトグラフ法を用いて、血清、血漿及び全血中のHIV-1の抗原であるp24及びHIV-1とHIV-2抗体の検出をおこなう第四世代(抗原+抗体)のHIVスクリーニング検査試薬です。


【迅速抗原抗体検査の種類】


日本国内では、エスプラインHIV Ag/Abとダイナスクリーン・HIV Comboの2キットが厚生労働省から認可受け使用されています。


【検査の特徴】


血清、血漿は検体滴下の1ステップ、全血は検体滴下1分後に全血展開液を滴下する2ステップ、と操作が容易であり、短時間(20分~40分)で結果が得られます。


さらに、イムノクロマトグラフ法でオート機器装置に匹敵するような高感度化を実現し、血液遠心分離機など検査設備が整っていない場所や状況においても、高感度なHIVスクリーニング検査を実施できるメリットがあります。


【検査の原理】


検体中にHIV抗体が存在していると、抗HIV抗体は、シート下部のセレニウムコロイド標識HIV抗原と反応し、抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原の結合物を形成する。


この結合物はシート上を移動して、シート上部に固相化されたHIV抗原と結合し、固相化HIV抗原-抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原のサンドイッチ型の結合物を形成する。


結果はシート上の判定窓に出現するセレニウムコロイド由来のライン(ダイナスクリーン・HIV Comboは赤色のライン・エスプラインHIV Ag/Abはブルーのライン)の有無により判定します。


【受ける時期】


HIV-1の抗原を検出するには、不安な行為から30~50日以内に受ける必要があります。


30日以前に受ければ感染していても抗原の量が少なく偽陰性となる可能性があります。


また、50日以降に受ければ感染していても抗原の量が少なくなっていることから偽陰性となる可能性があります。


HIV-1/-2の抗体は不安な行為から12週で受けないと信頼できる結果は得られません。


※HIV-2の抗原は検出することは出来ません※


【偽陰性反応】


どのような検査でも受ける時期が早すぎると、偽陰性反応は起きてしまいます。


HIV-1の抗原は不安な行為から30~50日以内にで受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。


HIV-1/-2の抗体は不安な行為から12週(84日)で受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。


【偽陽性反応の起きる原因】


判定を厳格にしすぎることから機械で行う抗原抗体検査に比べて、偽陽性反応が多く出現する傾向はどうしてもあります。


判定時間経過後のラインの出現を陽性と誤判定することがあります。


※判定時間は厳守する必要があります※


どのような時に起きるのかははっきり解明されていません。


HIVに感染していないのに毎回陽性となる人もいることも事実です。


【検体として利用する種類によって検査結果に差があるのか】


この検査は、全血・血漿・血清のいずれでも検査が可能です。


血漿・血清・全血を利用しての検査では、検出感度・特異度共に変わりがありません。


全血を使用すると赤血球の赤色の色調によって偽陽性反応の出現率が高くなる傾向が見られます。


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