2023年10月22日日曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-15.通販検査の落とし穴-

保健所や医療機関でHIV検査を受ける場合、プライバシーの保護を危惧する人が多くいることは周知の事実です。


特に保健所での検査がいくら無料であっても受けるのを躊躇している人が多いのも事実です。


その上保健所の都合で受ける日時が一方的に決められ、受けたい時に受けられない不便さもあります。


これらのことからして、通販でHIV検査キットを購入して自宅で検査をする人や、穿刺器具で血液を採取してその血液を民間の会社に郵送して検査を受ける人が増加しています。


現実、民間の郵送検査の利用件数が毎年増加しつつあることは事実です。


通販の検査キットの人気の理由としては、以下が考えられます。


1.数千円の費用で気軽に検査ができる。


2.検査の際に他人と顔を合わせる煩わしさがない。


3.いつでも自分の希望した時に検査を受けられる。


しかし冷静に考えてみて、本当に自宅検査や郵送による検査には問題点がないのでしょうか?


問題点を以下に上げてみます。


1.検査を受ける時期が適切であったか。


2.正しく採血や検査が実施できたか。


3.陽性となった時の業者の対応は十分か。


4.検査キットそのもの信頼性。


5.検査を受ける業者の信頼性はどうなのか。


等が挙げられます。


これらを加味して自宅検査や郵送検査を受ける際の注意点を以下にまとめてみました。


1.検査を受ける前に自分が受けようとする検査の種類を確認する必要があります。


何故なら検査の種類によって受ける時期が異なるからです。


2.それぞれの検査に適した検査を受ける適切な時期に検査を受ける必要がある。


早すぎると信頼できる結果が得られません。


3.指示書通りに正しく検査を実施する。

間違った方法で検査をすると正しい結果が得られません。


4.自宅検査は、厚生労働省は認可していませんので、受けるのは自己責任で受ける。


5.郵送検査は検査を実施する会社が許可を受けて実施していますが、全ての会社が精度の高い検査で実施しているとは限らない事を理解して注意して選ぶ必要がある。


6.陽性となった場合は、即HIVに感染しているとは限りませんので、追加試験や確認試験などのフォロー体制のしっかりした会社を選ぶ必要があります。


実際検査が陽性なった場合のフォロー体制が不十分な会社も存在します。


自分で検査を実施して陽性となった時には、医療機関で追加試験や確認試験を受ける必要があります。


簡単で便利な検査は、それに伴うリスクが有ることを十分に理解して利用する必要があります。

2023年10月20日金曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-14.NAT検査は何処で受けることが出来るのか?-

ここで言うNAT検査は、リアルタイムPCR検査のことです。


本当のNAT検査は、血液センター専用の検査で医療機関では受けることは出来ません。


何度も申し上げていますが一般的にNAT検査と呼ばれるのは、リアルタイムPCR検査のことです。


※ここではあえて皆が使用するNAT検査と言います※


NAT検査は全国何処の医療施設でも受けることが出来ます。


医療施設の大小(大学病院から個人のクリニック)は関係ありません。


検査の種類は膨大な数あり、幾ら大学病院でもすべての検査を自施設で検査することは不可能です。


当然中小の病院やクリニックではなおさら検査することが出来ません。


その為に医療機関から検査を請け負う検査専門の会社があります。


検査を請け負う会社は全国にあり、全国全ての医療機関の検査を請け負って検査します。


NAT検査ができない医療機関は、検査専門の会社に検査を依頼することになります。


全国の医療機関は大小にかかわらず全て検査専門の会社と契約をしています。


従ってNAT検査を受けることの出来ない医療機関はありません、全国どこの医療機関でも検査は受けることが出来ます。


では、何故NAT検査を受けられない医療機関があるのでしょうか?


以下に分析してみます。


1.医師がNA検査を検査専門の会社に依頼できることを知らない。


2.多くの人がNAT検査ということから、NAT検査は血液センター専用の検査で当然検査専門の会社でも検査できないと勘違いしている。


これは、NAT検査とリアルタイムPCR検査の区別ができない医師に多い。


3.HIV検査としてのNAT検査の依頼を受けること自体を嫌い、検査できないという医師がいることも事実です。


要するにHIV検査に関わりたくない医師もいることは事実です。


それではNAT検査を受けるためにはどうすればよいのか?


1.HIV検査のことを理解している性病専門の医師に検査を依頼する。


2.NAT検査という表現を避けてHIVのリアルタイムPCR検査を受けたいと申し出る。


3.自分の施設では出来ないと言われた時には、検査専門の会社に検査を依頼してほしいて申し出る。


上記のようにすればNAT検査は、全国何処の医療機関で受けることが出来ます。


お役に立ちましたでしょうか??!!


最後に一言、HIVのリアルタイムPCR検査は、2023年現在HIV-1しか検査できません。


HIV-2のPCR検査はありますが、一部の研究施設で研究として検査されていますが、検査として認可されていませんので当然保険適応もなく、医療機関で受けることは出来ません。

2023年10月18日水曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-13.HIV抗体検査が陽性となれば必ずHIVに感染していると言えるのか!!-

1.HIV抗体検査が陽性となった場合


適切な時期に受けて陽性となっても必ずHIVに感染しているとは言えません。


何故ならHIV抗体検査にも偽陽性反応(ニセの陽性)があるからです。


この場合以下の確認検査を行います。


1)日を改めて再度採血してHIV抗体検査を行う、この場合一度陽性となった検査を再度実施する、異なる検査法で実施するのふたつの方法があります。


日を改めて採血して検査を実施すれば、本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、感染していなければ陰性となります、陰性となれば前の検査での陽性は偽陽性反応と言えます。


陽性となった場合、HIV-1とHIV-2のいずれに感染しているかの判断はできません。


HIV-1とHIV-2のいずれに感染しているかは、HIV-1とHIV-2の鑑別検査をする必要があります。


2)確認検査としてウエスタンブロット検査を実施する。


本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、陰性となればHIVに感染していないと言えます。


3)リアルタイムPCR検査を実施する。


本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、陰性となればHIVに感染していないと言えます。


※但しこの場合は、HIV-1の感染で、HIV-2の感染の判断はできません※


2.抗原抗体検査が陽性


1)30~50日で陽性となる。


この場合はHIV-1の抗原が検出された可能性がありますので、リアルタイムPCR検査で確認検査をします。


確認検査のウエスタンブロット法ではこの時期検査をする時期として早すぎるために感染していても陰性(偽陰性反応)となってしまいます。


2)12週で陽性となる


・この場合はHIV-1抗体かHIV-2抗体のいずれか、また両方の抗体が検出された可能性がありますので、日を改めて再度採血してHIV抗体検査を行う、この場合一度陽性となった検査を再度実施するか、異なる検査法で実施する方法があります。


日を改めて採血して検査を実施すれば、本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、感染していなければ陰性となります、陰性となれば前の検査での陽性は偽陽性反応と言えます。


・確認検査としてウエスタンブロット検査を実施する。


本当にHIVに感染していれば陽性となりますが、陰性となればHIVに感染していないと言えます。


・陽性となった場合、HIV-1抗体かHIV-2抗体のいずれかに感染しているかの鑑別検査が必要となります。


・リアルタイムPCR検査を実施する。


本当にHIV-1に感染していれば陽性となりますが、陰性となればHIV-1に感染していないと言えます。


※HIV-2の判断はできません※


3)リアルタイムPCR検査が陽性


ほぼ100%近くHIV-1に感染しているといえます。


確認検査としては日にちを改めて採血して、再度リアルタイムPCR検査を実施し、陽性となればHIV-1に感染していたと言えます、陰性となった場合は前回のリアルタイムPCR検査が偽陽性反応(ニセの陽性)ということになります。


現実全自動で検査するリアルタイムPCR検査の偽陽性反応は、極めて低い確率でしか発生しません。



2023年10月16日月曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-12.迅速抗原抗体検査ダイナスクリーン・HIV Comboの判定(陰性事例と判定無効事例)

陰性・・・・・コントロール判定窓だけに赤色ラインが現れ、抗原判定窓及び抗体判定窓には赤色ラインが認められない場合。




判定無効(再検査)・・・コントロール判定窓に赤色ラインが認められない場合は、陽性・陰性とは判定できず判定無効とし、再度検査を実施する。





(左)抗体判定窓(AB)に赤色ラインが認められても、コントロール判定窓(C)に赤色ラインが認められない。


(左より二番目)抗原判定窓(AG)に赤色ラインが認められても、コントロール判定窓(C)に赤色ラインが認められない。


(左より三番目)抗原判定窓(AG)と抗体判定窓(AB)に赤色ラインが認められても、コントロール判定窓(C)に赤色ラインが認められない。


(右端)抗原判定窓(AB)と抗体判定窓(AB)に赤色ラインが認めらなく陰性と判断できそうですが、コントロール判定窓(C)に赤色ラインが認められないことから陰性ではなく判定無効。


※この検査の大切なことは、必ずコントロールラインに赤色のラインが認められない場合は、いくら抗原や抗体のラインに赤色のラインが認められても判定は無効として、再度検査を実施することです※






2023年10月14日土曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-11.迅速抗原抗体検査ダイナスクリーン・HIV Comboの判定(陽性事例)-

検体滴下20分後にコントロールラインと抗原判定ライン及び抗体判定ラインを肉眼で観察し、赤色ラインの有無を確認して判定する。


1.陽性・・・抗原及び抗体判定窓及びコントロール判定窓の両方に赤色ラインが現れた場合。



C・・・コントロールライン(上段)

AG・・・抗原ライン(中段)

AB・・・抗体ライン(下段)


(1)HIV-1のp24抗原陽性・・・Cのコントロール判定窓に赤色のラインが認められ、AGの抗原判定窓に赤色ラインが認めら、ABの抗体判定窓に赤色ラインが認められない。





(2)HIV抗体陽性・・・Cのコントロール判定窓に赤色のラインが認められ、ABのHIV抗体判定窓に赤色のラインが認められ、AGの抗原判定窓に赤色ラインが認めらない。



(3)HIV-1抗原とHIV抗体が共に陽性・・・Cのコントロール判定窓に赤色のラインが認められ、AGの抗原判定窓とABのHIV抗体判定窓の両方に赤色のラインが認められる。



 

2023年10月12日木曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-10.HIV検査を受ける際の注意点-その2.迅速抗原抗体検査-

 【迅速抗原抗体検査とは】


イムノクロマトグラフ法を用いて、血清、血漿及び全血中のHIV-1の抗原であるp24及びHIV-1とHIV-2抗体の検出をおこなう第四世代(抗原+抗体)のHIVスクリーニング検査試薬です。


【迅速抗原抗体検査の種類】


日本国内では、エスプラインHIV Ag/Abとダイナスクリーン・HIV Comboの2キットが厚生労働省から認可受け使用されています。


【検査の特徴】


血清、血漿は検体滴下の1ステップ、全血は検体滴下1分後に全血展開液を滴下する2ステップ、と操作が容易であり、短時間(20分~40分)で結果が得られます。


さらに、イムノクロマトグラフ法でオート機器装置に匹敵するような高感度化を実現し、血液遠心分離機など検査設備が整っていない場所や状況においても、高感度なHIVスクリーニング検査を実施できるメリットがあります。


【検査の原理】


検体中にHIV抗体が存在していると、抗HIV抗体は、シート下部のセレニウムコロイド標識HIV抗原と反応し、抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原の結合物を形成する。


この結合物はシート上を移動して、シート上部に固相化されたHIV抗原と結合し、固相化HIV抗原-抗HIV抗体-セレニウムコロイド標識HIV抗原のサンドイッチ型の結合物を形成する。


結果はシート上の判定窓に出現するセレニウムコロイド由来のライン(ダイナスクリーン・HIV Comboは赤色のライン・エスプラインHIV Ag/Abはブルーのライン)の有無により判定します。


【受ける時期】


HIV-1の抗原を検出するには、不安な行為から30~50日以内に受ける必要があります。


30日以前に受ければ感染していても抗原の量が少なく偽陰性となる可能性があります。


また、50日以降に受ければ感染していても抗原の量が少なくなっていることから偽陰性となる可能性があります。


HIV-1/-2の抗体は不安な行為から12週で受けないと信頼できる結果は得られません。


※HIV-2の抗原は検出することは出来ません※


【偽陰性反応】


どのような検査でも受ける時期が早すぎると、偽陰性反応は起きてしまいます。


HIV-1の抗原は不安な行為から30~50日以内にで受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。


HIV-1/-2の抗体は不安な行為から12週(84日)で受けることによって、偽陰性反応が起きることはありません。


【偽陽性反応の起きる原因】


判定を厳格にしすぎることから機械で行う抗原抗体検査に比べて、偽陽性反応が多く出現する傾向はどうしてもあります。


判定時間経過後のラインの出現を陽性と誤判定することがあります。


※判定時間は厳守する必要があります※


どのような時に起きるのかははっきり解明されていません。


HIVに感染していないのに毎回陽性となる人もいることも事実です。


【検体として利用する種類によって検査結果に差があるのか】


この検査は、全血・血漿・血清のいずれでも検査が可能です。


血漿・血清・全血を利用しての検査では、検出感度・特異度共に変わりがありません。


全血を使用すると赤血球の赤色の色調によって偽陽性反応の出現率が高くなる傾向が見られます。


2023年10月8日日曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょう-9.リアルタイムPCR検査はHIV-2を検出できるのか?-

【リアルタイムPCR検査とは】


HIV1-RNA定量検査のことです。


PCR法を基本原理とする核酸増幅法の一種で、ウイルスの遺伝子の一部の核酸を取り出し、その核酸を倍々で増やして、増えた核酸を検出することで遺伝子の有無を確認する検査法です。


【リアルタイムPCR検査はどのようなときに使用するのか?】


1.HIV-1のスクリーニング検査


2.HIV-1の確認検査


3.HIVの治療における血液中のHIVの量


【検査を受ける時期】


不安な行為から11日以降鉄受けても信頼できる結果が得られます。


【偽陰性反応の出現は】


不安な行為から11日前に受けるとHIVに感染していてもHIVの量が少ないとニセの陰性(偽陰性反応)となります。


【偽陽性反応の出現は】


機械を使用して検査を行うため人的ミスが介在しないことから、ニセの陽性反応(偽陽性反応)の出現は極めて低いです。


しかし採血時や検査の際の血液の取り扱い時にクロスコンタミネーション(他の微生物やウイルスの混入)が起こるとニセの陽性反応(偽陽性反応)が起こることがあります。


現在のリアルタイムPCR検査については、、偽陽性反応も偽陰性反応の発生頻度は極めて低いです。


【リアルタイムPCR検査はHIV-2を検出できるのか?】


検出できません。


HIV-2の検査は不安な行為から12週以降にHIV-2の抗体検査を受けないとわかりません。


【リアルタイムPCR検査とNAT検査は同じものか?】


NAT検査とは核酸増幅検査(Nucleic acid Amplification Test)略称で、ウイルスの遺伝子の一部の核酸を取り出し、その核酸を倍々で増やして、増えた核酸を検出することで遺伝子の有無を確認する検査法です。


リアルタイムPCR検査とNAT検査は全く異なる検査で、NAT検査は献血で得られた血液のHIV-1/-2・HBC・HCV・HEVを調べる血液センター専用の検査で、医療機関や保健所で受けることは出来ません。


NAT検査はHIV-2を検出することは可能ですが、リアルタイムPCR検査は、HIV-2を検出できません。


【大切な追加の話】


一般的にリアルタイムPCR検査を含めて、NAT検査と総称していますが、NAT検査は血液センター専用の検査法で、リアルタイムPCR検査は医療機関と検査会社専用の検査法で全く別の検査法です。


NAT検査という呼び方が一般的なっていることから、便宜上HIVのPCR検査をNAT検査と呼んでいるだけです。

HIV/AIDSを正しく認識しょう-18.HIV感染による初期症状について-

【いつ頃現れるのか】 HIVに感染してから通常2~6週以内に現れます。 【HIVに感染した人全てに現れるのか】 感染した人の約半数から2/3に、これらの症状が起こることがあります。  全ての感染者にこのような症状が現れるとは限りませんし、全く症状の現れない人もあります。 【初期症...