2023年9月30日土曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょうー5."いきなりエイズ"にならないためには??!!-

【 "いきなりエイズ"の現状】

相変わらず"いきなりエイズ"は、毎年多く発生しています。

"いきなりエイズ"は毎年400件以上(新規HIV報告数の約30%)も報告されているのが現実です。

【"いきなりエイズ"にならないためにはどうすればよいのか】

1.不安な行為から2~3週間前後で39℃以上の高熱とともに、体全身にくまなく出る赤色の発疹、全身のリンパ腺が左右対称に腫れるという 症状が現れることによってHIV感染による初期症状(急性HIV感染症)が疑われますから、すぐにリアルタイムPCR検査を受ける必要があります。

※この時期は血液中にはHIV検査で見つかるHIV抗体やHIV-1の抗原の量が少ないことから、HIV抗体検査や抗原抗体検査は陰性となってしまいますから、 必ずリアルタイムPCR検査を受ける必要があります※

※しかしこれらの症状が現れてもHIVに感染しているとは即断できません、なぜなら麻疹、伝染性単核球症、デング熱、薬疹などもHIV感染による 初期症状と似たような症状を呈するからです※

あくまでもHIV検査と確認検査が陽性にならないとHIVに感染しているとは言えません。

この時期検査を得ける際の最も大切なことは、リアルタイムPCR検査で判定する必要があるということです。

2.梅毒トレポネーマの感染を繰り返している、遺伝子型AのB型肝炎ウイルス感染があり慢性化している、性行為でC型肝炎 ウイルスに感染している、3回以上の帯状疱疹または汎発性帯状疱疹の感染があった、尖圭コンジローマが治らない、 性器ヘルペスの再発が頻回に起こるなどの訴えのある場合はHIVを疑いHIV検査を受ける必要があります。

3.下痢、リンパ節の腫脹、急激な体重減少、ほぼ全身の関節痛などが、長期間続いている場合はHIV感染を疑う必要があります。

結論としてはいきなりエイズを見つけるには、積極的にその時期に適した検査法を選択して受けることしか方法はありません。

【HIVの感染は症状からはまず分からない】

よく症状や体調の変化でHIV感染の判断をしてほしいという依頼をされますが、症状や体調の変化でHIV感染の判断はまずできません。

なぜならHIV感染の時と同じ症状を起こす病気は多くあるからです。

また、HIVに感染しても全く初期症状のない人や極めて短い時期に軽い症状しか出ない人もありますから症状や体調の変化でHIV感染の 判断は出来ないと理解しておいて下さい。

初期症状の出ている早期にHIV感染の判断をできる検査は、リアルタイムPCR検査だけです。

【"いきなりエイズ"にならないためには!!】

"いきなりエイズ"にならないためには、不安な行為をしてしまったときには必ず早期に適切なHIV検査を受けるしか方法はないということです。

未だに多くの人が検査を受けずに早期発見を出来ずに、体調不良で受診して初めてHIV感染を指摘された時にはすでにエイズ を発症してしまっている("いきなりエイズ")人が多くいることは残念としか言えません。

不幸にもHIVに感染しても、早期発見・早期治療を行えばエイズを発症することなく一般の人と同様な生活をおくれるようになってきています。


しかし"いきなりエイズ"になってしまってからでは、抗HIV薬の効き目も思わしくないことから、い"きなりエイズ"になる前の治療が必要となります。


2023年9月28日木曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょうー4.いきなりエイズといきなりエイズ率ー

"いきなりエイズ"とは】


HIVの感染が判明したときには, すでに免疫能が著しく低下して日和見感染などを合併した状態で、エイズを既に発症してしまっている状態を言います。


最近のエイズ発症時期は一般的には、HIVに感染後エイズ発症までには、5年以上を要しますが、最近では3年前後でエイズを発症する症例が増加しています。


【"いきなりエイズ率"とは】


HIVの感染を知らずにAIDSが発症した事例の割合とされていますが、実際には新規HIV感染報告事例+新規AIDS発症報告事例に占める新規AIDS発症報告事例の割合で表されています。


"いきなりエイズ率"とはマスコミを中心に用いられており,厚生労働省エイズ動向委員会による『エイズ発生動向年報』においては,これまでに HIV/AIDS関連の正式な統計指標として"いきなりエイズ率"の名称が使われたことはありません。


【"いきなりエイズ率"が高いということは何を意味するのか】


気づいた時には既にエイズを発症しているという事例が多いことを意味します。


高いということは、不安な行為をした人で積極的にHIV検査を受けている人が少ないということになります。


"いきなりエイズ"は毎年400件以上(新規HIV報告数の約3割)も報告されているのが現実です。


不安な行為をしてもHIV検査を受けない人が多いことから、実際の国内HIV感染者数は報告件数を大幅に上回っているとことが懸念されています。


このことからして更に"いきなりエイズ"は増加すると懸念されています。


近年、我が国における"いきなりエイズ率"は、20%前後と横ばい推移していますが明らかな減少傾向とはなっていません。


これは不安な行為をしても検査を受けない人が依然として多いことを物語っています。


大切なことは、不安な行為をしてしまったときにはHIV検査を受けられる適切な時期が来ればHIV検査を必ず受けるということです、 これが"いきなりエイズ"を減少させることになります。


よく体調不良やいろいろの症状から感染を云々する人が多いですが、HIV感染は適切な時期にHIV検査を受けないとわかりません。 

2023年9月25日月曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょうー3.HIVの検査はどのような検査があるのですか?ー

HIVの検査はどのような検査は、大きく分けて以下の検査があります。

1.リアルタイムPCR検査

2.第三世代の抗体検査・・・PA法、エライサ法

3.第四世代の抗原抗体検査

4.迅速(即日)抗体検査

【HIVの検査はいつ受けたらいいのですか?】

HIVの検査は受ける時期が大切で、受ける時期を間違えば信頼できる結果は得られません。

【リアルタイムPCR検査はいつ受ければよいのですか?】

不安な行為から11日以降何時受けても信頼できる結果が得られます。

※ただし、HIV-2の感染の判断は出来ません※

【第三世代の抗体検査はいつ受ければよいのですか?】

不安な行為から12週以降に受ければHIV-1とHIV-2に対する信頼できる結果が得られます。

※2023年現在第三世代の抗体検査はほとんど使用されていません※

【第四世代の抗原抗体検査はいつ受ければよいのですか?】

不安な行為から30~50日以内に受ければHIV-1に対する信頼できる結果が得られます。

※50日を経過すると血液中のHIV-1の抗原量が少なくなるので、感染していても陰性(偽陰性反応)となることがあります※

ただし、HIV-2の感染の判断は出来ません。

【迅速(即日)抗体検査はいつ受ければよいのですか?】

不安な行為から12週以降に受ければHIV-1とHIV-2に対する信頼できる結果が得られます。

【HIVに感染しているとはどのような場合に確定できるのですか?】

HIV抗体検査が陽性だけでHIVに感染しているとは言えません。

確認検査が陽性となって初めて、HIVに感染していると判断されます。

1.抗体確認検査としては、ウェスタンブロット(WB)法、蛍光抗体法(IFA)。 

2.HIV抗原検査としては、HIV分離及び核酸診断法(リアルタイムPCR)等の病原体に関する検査。

の確認検査を行います。

【判定方法としては】

1.ウェスタンブロット法、蛍光抗体法とHIV分離及び核酸診断法(リアルタイムPCR)等の病原体に関する検査が 陽性の場合→HIV-1感染者。

2.ウエスタンブロット法や蛍光抗体法が保留でリアルタイムPCR陽性の場合→急性HIV-1感染者。

3.ウエスタンブロット法や蛍光抗体法が陰性でリアルタイムPCR陽性→急性HIV-1陽性者。

4.ウエスタンブロット法や蛍光抗体法が陰性でリアルタイムPCRも陰性の場合は、さらに2週間後再度採血をして、 再検査を行い、ウエスタンブロット法や蛍光抗体法が陰性あるいは保留で、リアルタイムPCR陰性ならスクリーニング検査は 偽陽性と判定するが、念のためにHIV-2確認検査を実施する。

このように、HIV抗体検査が陽性でも、確認試験のウェスタンブロット法や蛍光抗体法およびリアルタイムPCRが陰性の場合は、 偽陽性反応として、HIV感染はないと判断します。

2023年9月23日土曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょうー2.感染するとどのような症状が出るのですか?ー

 HIVに感染してから2~4週後で以下のような症状(初期症状)が現れることがありますが、すべての人に現れるとは限りません。


さらに初期症状は、現れてから数日から数週間で消え、再度現れることはありません。


【主な初期症状】


38.5℃以上の発熱・・・・(96%)

首や腋の下及び股のリンパ節の腫れ(左右対称に腫れる)・・・・(74%)

咽頭炎(のどの痛み)・・・・(70%)

痛みや痒みのない5~10mmの大きさのバラ色の発疹が顔、 手のひらや足の裏など全身に・・・・(70%)

筋肉痛と関節痛・・・・(54%)

下痢・・・・(32%)

頭痛、嘔吐、吐き気・・・・(30%)

口の中のカンジダ・・・・(12%)

検査の異常 血小板の減少・・・・(45%) リンパ球の減少と肝臓機能検査の異常・・・・(21%)

頭痛

意識がもうろうとする


症状からHIV感染を判断することは出来ません、感染の判断は適切な時期に、適切なHIV検査を受けることです。


【HIVを治療しないとどうなるのですか?】


通常感染してから、数年から5年程度かけて、体の免疫機能が低下してきます、その為に日和見感染症などを発症することになります。


AIDSが発症してから、抗HIV薬を使用しても十分な効果が得られず、死亡する率が非常に高くなります。


その為可能な限りHIV感染の初期に、抗HIV薬を使用して治療することにより、HIVの増殖を抑え、AIDSの発症を押さえることが可能となっています。


2023年9月21日木曜日

HIV/AIDSを正しく認識しょうー1.HIVとAIDSとはー

HIV(ヒト免疫不全ウイルス: Human Immunodeficiency Virus)は、人の免疫細胞に感染し免疫細胞を破壊して、最終的には 後天性免疫不全症候群(AIDS)を発症させるウイルスです。


よく「エイズウイルス」と呼ばれることがあるが、正式な名称ではなく、マスコミ用語です。


また、「HIVウイルス」と表記していることがありますが、これは完全な間違いです。


【HIVには種類】


ウイルスの分類上は、エンベロープを持つプラス鎖の一本鎖RNAウイルスで、トロウイルス科レンチウイルス属に属する、HIV-1(Human Immunodeficiency Virus type1)とHIV-2(Human Immunodeficiency Virus type2)に分類されます。


【HIVの分類】


HIV-1は塩基配列により3群に分類されてます。


グループM(Major)、グループO(Outlier)、グループN(non-M/non-O)に分類されますが、世界的に流行しているの多くがグ ループMに属しています。


グループMはさらにA、B、C、D、E(後に組換え体であるCRF01_AEである事が判明。純粋Eは未発見)、F、G、H、J、Kの10のサブタイプに分類されています。


更にこのサブタイプ間での組換え体が存在し、CRF(circulating recombinant form)が15種類確認されています。


日本の感染者の主なサブタイプは、BとCRF01_AEで、サブタイプBがおよそ75%、CRF01_AEが20%、残りがそのほかのサブタイプです。


2009年、アフリカのカメルーンで発見されたHIV-1は、ゴリラ由来とされ、グループPとして新たに分類されました。


HIV-2は塩基配列によりA~Gの7群に分類されてます。


【AIDSとは何ですか?】


HIV感染後の長期間の潜伏期を経て免疫不全状態に陥り、『エイズの指標疾患』(Indicator Disease) の1つ以上が明らかに認められる場合にAIDSと診断します。


単にHIVに感染しただけ(HIVキャリア)ではAIDSとは呼びません。


【HIVはどのようにして感染するのですか?】


HIVは非常に感染力と生命力の弱いウイルスで、一般に普通の社会生活をしていたり、感染者と暮らしたとしてもまず感染することは無く、感染する主たる原因は、コンドーム無しの膣性交と肛門性交です。


特に肛門性交によって感染する割合が最も高い(必然的に男性同性愛者の性的接触による割合が多くなる)。


その理由としては、妊娠のリスクが無い為、性交時にコンドームを使用せず、直腸内で射精する行為が多い為だからです。


次いで異性間の膣性交によるものが多く、感染者全体の多くは性行為による感染です。


次いで注射器の使い回しによる感染、母子感染となっています。


【HIVの感染する場所はどこですか?】


一般に感染源となりるHIVを含む体液は、血液・精液・膣分泌液・母乳・カウパー液です。


感染しやすい部位としては粘膜(腸粘膜、性器粘膜など)、切創(せっそう)や刺創(しそう)などの血管に達すような 深い傷などがある場合となります。


通常の傷のない健康な皮膚から感染する事はありません。


主な感染経路は以下の3つに限られます。


1.性的感染


性交による感染では、性分泌液に接触する事が最大の原因となり、通常の性交では、女性は精液が膣粘膜に直接接触し血液中 にHIVが侵入する事で感染します。


男性は性交によって亀頭に目に見えない細かい傷ができ、そこに膣分泌液が直接接触し血液中にHIVが侵入する事で感染します。


肛門性交では、ペニスの挿入の際出来た腸粘膜の傷口に精液が接触しそこから感染するとされている。


腸の粘膜は一層の為に薄く、性行為を行う場所でないことから、ペニスの挿入で簡単に傷つきHIVが侵入しやすい状態となります、 その為膣性交よりも感染リスクが高いわけです。

また割礼によって、傷つきやすく、免疫関連細胞の多い包皮を切除することで感染リスクが低減するという研究結果が複数ありますが、これはHIVの侵入・感染が抑えられる為だと考えられています。


なおオーラルセックスで口腔で性器を愛撫する場合も、口腔内に歯磨きなどで微小な傷が生じていることが多く、そこに性体液が 接触することで、血液中にHIVが侵入する恐れがあることも指摘されています。


2.血液感染


感染者の血液が、傷、輸血、麻薬まわし打ち等によって、血液中に侵入する事で感染が成立する。


特に麻薬・覚醒剤中毒者間の注射器・注射針の使い回しは感染率が極めて高い。

輸血用血液のHIV検査体制が不十分なときは、輸血や血液製剤からの感染が発生していましたが、現在では全ての血液について 事前にHIV感染の有無を検査され、感染のリスクは非常に低くなっています。


特にわが国では世界最先端の検査体制をとっていることから、輸血用血液からの感染リスクは、1500万分の1以下と言われています。


しかし、発展途上国では、HIV検査体制そのものが不十分なことに加え、売血制度があることから、輸血によるHIV感染のリスクは非常に高い ことから、これらの国での輸血には樹亜ぷん注意する必要があります。


医療現場においては、針刺し事故等の医療事故による感染の危険性があることから、十分な感染対策が必要とされています。


2023年時点、わが国においては、医療現場での針刺し事故によるHIV感染の報告はありません。


3.母子感染


母子感染の経路としては、①出産時の産道感染、②妊娠中に胎児が感染する、③母乳の授乳による感染の三つの経路があります。


産道感染は子供が産まれてくる際、産道出血による血液を子供が浴びる事で起こりますが、感染を避ける方法として、 帝王切開を行い母親の血液を付着させない方法があり、感染を防ぐ効果を上げています。


胎内感染は、胎盤を通じ子宮内で胎児がHIVに感染する事で起こることから、物理的な遮断が出来ない為、感染を回避する事が難しい。


 感染対策として、妊娠中に母親がHAART療法により血中のHIV量を下げ、子供に感染する確率を減らす方法がとられています。


HIVに感染した母親の母乳を与える事は危険とされ、この場合は母乳を中止して、子供に粉ミルクを与える事によって、 感染を回避する事が可能となります。


 続く

2023年9月20日水曜日

サル痘について-4.流行国と非流行国でのサル痘患者の実態-

従来から流行している地域と今回新たに流行が始まった非流行国でのサル痘患者の症状と感染経路は異なっています。



1.非流行国のサル痘患者は、発熱や悪寒の前駆症状がなく突然皮疹が現れ、皮疹が現れたあとから発熱・悪寒・リンパ腺の腫れなどが現れる場合と、皮疹が1~数カ所に出るのみで他の症状が現れない患者も存在します。


2.流行地でのサル痘の皮疹は、顔め手のひら・足の裏が好発部位ですが、非流行地の患者では性器・肛門周囲に皮疹が現れ、顔や手足にはあまり現れません。


更に流行地でのサル痘は、直腸炎を伴う直腸痛を訴える患者が多くいます。


3.この様に昔からアフリカで流行していたサル痘と症状が異なるのは、患者の多くがゲイや両性愛者で男性と性交交渉のある男性であり、感染経路がアフリカでの感染経路と異なる事によることによると考えられています。


4.また、非流行国の初期症状によっては梅毒やその他の性感染症と誤診される可能性が高いことも指摘されています。


上記のごとく従来のサル痘と新たに流行が始まったサル痘とは異なった所見が見られます。

2023年9月17日日曜日

サル痘について-3.サル痘は性行為感染症に分類されるのか-

世界16カ国528例の報告では、症例のうち98%が男性とセックスをする男性(MSM)であり、年齢の中央値は38歳でした。


この528例のうち95%が性交渉に関連した接触による感染が原因と考えられており、これらの感染者は性交渉のパートナーが多いという特徴があります。


サル痘は性感染症には分類されていませんが、米国で報告された症例のほとんどに、何らかの性行為がかかわっていたとされています。


WHOは男性同士の性的接触による感染が拡大していることを受け、パートナーの数を減らして新しいパートナーとの性的関係を再考するよう呼びかけています。


WHOの報告によると、感染者のほぼ全員が男性で、かつ男性同士の性的接触が原因となっていたとされています。


しかしながら女性の患者も報告されています。


WHOによると、現在報告されている患者の大部分は男性ですが、小児や女性の感染も報告されています。


報道を見ると確かにMSMの人が多いようですが、それは発見当初のエイズがそうであったように、たまたま目立っているだけで、男女間のセックスでも感染すると考えるべきでしょう。






HIV/AIDSを正しく認識しょう-18.HIV感染による初期症状について-

【いつ頃現れるのか】 HIVに感染してから通常2~6週以内に現れます。 【HIVに感染した人全てに現れるのか】 感染した人の約半数から2/3に、これらの症状が起こることがあります。  全ての感染者にこのような症状が現れるとは限りませんし、全く症状の現れない人もあります。 【初期症...